第25回和辻哲郎文化賞の受賞作が発表され、亘理町出身の安住恭子さんが書いた『『草枕』の那美と辛亥革命』が一般部門に選ばれ、5月9日に亘理町長へ受賞の報告をしました。
白水社刊(定価2,100円)
この文化賞は、兵庫県姫路市が市制百年と哲学者和辻哲郎の生誕百年を記念して創設され、一般部門と学術部門が設けられており、かつては司馬遼太郎さんが審査員をつとめていました。今回も阿刀田高さんや梅原猛さんなどが審査員になっています。
受賞作は夏目漱石の『草枕』に登場するヒロインの那美のモデルになったといわれる前田卓(まえだつな)について辛亥革命を起こした孫文との関わりも含めて波乱万丈の人生について書かれています。
本業の演劇評論だけにとどまらず、違うジャンルのノンフィクションに挑戦すべく、以前から人間的にも興味があった前田卓について書くことに決めて書き始めたものの、執筆途中には演劇評論との同時進行による疲労が蓄積したのか、頭痛がひどくなり入院したこともあったそうです。
そのような危機を乗り越え平成23年1月に書き上げましたが3月に震災があり、一時は出版を思いとどまりましたが、故郷である亘理町の知り合いや出版社の協力のおかげで完成に辿り着くことができたそうです。
安住さんは、「受賞後歴代受賞者の中に尊敬する執筆者が多数おり、改めて受賞の実感が湧いて来た。在住の名古屋市から亘理町の現状を発信していきたい。」と受賞の喜びとふるさとへの思いを話してくれました。
町長からは、「町にとって大変名誉なことであり、これからの亘理町における文化発展の礎になることと期待します」との祝福の言葉が贈られました。
安住さんは宮城教育大学を卒業後、出版社勤務および新聞記者として芸能全般の取材に関わり演劇・映画評論の執筆活動を開始しました。
退社後、執筆活動を続けながら平成13年11月には、野村萬斎さんが演出・主演を務めた『RASHOMON』の脚本を担当したほか、しりあがり寿さん原作の『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』をプロデュースするなど多岐にわたる仕事をされています。

皆さんもこの機会に是非ご一読ください。