○亘理町環境基本条例

平成20年7月1日

条例第25号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策(第7条―第10条)

第3章 良好な環境の保全及び創造を推進するための施策(第11条―第24条)

第4章 亘理町環境審議会(第25条―第31条)

附則

私たちのまち亘理町は、宮城県の南部に位置し、東は太平洋、西を阿武隈高地、そして北は悠久の流れからなる阿武隈川に囲まれています。

町域は、西側は緑豊かな典型的な里山地帯、東側は阿武隈川の氾濫原によって形成された肥沃な沖積平野とに大きく二分されています。また、阿武隈川河口には県内最大規模の干潟を有する鳥の海があるなど多様な地勢からなっています。気候も温暖で県内では最も生活しやすい自然環境に恵まれた地域といえます。

私たちは、今までその恵まれた環境を生かした人と自然との共生を重視した発展を進めてきました。

しかし、近年、槻木大橋の開通、逢隈駅の開業、高速自動車道の開通等交通体系の整備とあいまって、利便性を重視した都市的発展が急速に進んでいます。そして又その一方では多様な公益機能を有する森林や農地等が減少し、都市生活特有の公害の発生が心配されてきているのも事実であります。

私たちは、健康で快適な生活を営むために、良好な環境の豊かな恵みを受ける権利とそれを守り未来に引き継ぐ義務があります。

すべての町民が将来にわたって、町民一人ひとりが誇りを持って、暮らしやすさと、そして住むことへの安心が実感できる環境を保全し創造するためには、地球温暖化等の進行によって世界各地で発生している自然災害の現象を深刻に受け止め、その解決は一人ひとりの行動の積み重ねが基本であることを認識し、国、県等との協働により防止に努めることとします。

私たちが地域内で具体的に行動するに当たっては、亘理の自然は亘理だけの個性を有した自然であることを認識し、その仕組みを正しく理解し「人と自然が共生できるまち亘理」を目指すためには何をやらなければならないか、また何をやってはならないかを真剣に考える必要があります。

このような認識の下に町民が一丸となって、町の良好な環境を保全し創造することを決意しここに亘理町環境基本条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全及び創造について、基本理念を定め、町、事業者及び町民の責務を明らかにするとともに、良好な環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全及び創造は、すべての町民が健康で快適な生活を営むことができるように、人と自然が共生できる町土を構築し、これを将来の世代に継承して行くことを目的として行わなければならない。

2 良好な環境の保全及び創造は、環境資源の有限性を認識し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な町土を構築することを目的として、すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行わなければならない。

3 地球環境の保全は、すべての者がこれを自らの課題として認識し、事業活動及び日常活動において環境への負荷の低減を図ることにより、推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な環境の保全及び創造に関し、地域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止するために必要な措置及び自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するとともに、町が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(町民の責務)

第6条 町民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努め、良好な環境の保全及び創造に資するよう自ら活動するとともに、町が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策

(施策の基本方針)

第7条 町は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を策定及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として施策相互の連携を図りつつ、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 大気、水、土壌等の自然的環境構成要素を良好な状態に保持することにより、人の健康を保持及び生活環境を保全すること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保に努めるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境の保全及び回復を図ることにより、人と自然が共生することのできる良好な環境を確保すること。

(3) 人と自然との豊かなふれあいを確保するとともに、地域の特性を活かした自然環境及び歴史的、文化的財産の保存並びにこれらの特性を活かした魅力ある都市空間の形成を図ることにより、より質の高い環境を創造すること。

(4) 廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を推進し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市を構築するとともに、地球環境保全に貢献すること。

(5) 環境の保全及び創造を効率的かつ効果的に推進するため、町、町民及び事業者が協働することのできる社会を形成すること。

(環境基本計画)

第8条 町長は、前条を踏まえ、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、亘理町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全及び創造に関する目標、施策の方向及び配慮の方針

(2) 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に関する必要な事項

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、町民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、亘理町環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境への配慮)

第9条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するにあたっては、環境基本計画との整合を図るとともに、効率性等を総合的に判断しながら、その影響が低減されるよう十分に配慮しなければならない。

(報告書)

第10条 町長は、必要に応じて、環境の状況、町が講じた良好な環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を明らかにした報告書を作成し、これを公表しなければならない。

第3章 良好な環境の保全及び創造を推進するための施策

(環境影響評価の推進)

第11条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る良好な環境の保全について適正に配慮することを効果的に推進するため、国、県と一体となって必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(規制の措置)

第12条 町は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

2 町は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。

(誘導的措置)

第13条 町は、事業者及び町民が自らの行為に係る環境への負荷を低減するための適切な措置をとるように誘導するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(森林及び緑地の保全等)

第14条 町は、森林、公園、緑地及び水辺空間の整備、保存及び活用その他の潤いと安らぎのある快適で良好な環境の保全及び創造に資する事業を推進するため、必要な措置を講じなければならない。

(公共的施設の整備等)

第15条 町は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設整備、その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講じなければならない。

(廃棄物の減量等)

第16条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民及び事業者等による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設等にあたっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等に努めなければならない。

(環境管理体制の整備等)

第17条 町は、物の製造、加工又は販売その他事業活動を行う事業者が環境への負荷の低減を図るため、その事業活動を行うにあたり自主的に環境管理に関する体制の整備を推進することができるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(良好な環境の保全及び創造に関する活動の促進)

第18条 町は、町民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化運動、環境美化活動及び再生資源に係る回収活動、その他の良好な環境の保全及び創造に関する活動の促進に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(環境教育の振興等)

第19条 町は、関係機関及び民間団体等と協力して良好な環境の保全及び創造に関し、教育及び学習の振興並びに広報活動の充実を図ることにより、町民及び事業者がその理解を深め、良好な環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第20条 町は、前条の良好な環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに第18条の民間団体等が自発的に行う良好な環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、環境の状況その他の良好な環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(環境の状況の把握等)

第21条 町は、監視、測定等の実施により環境の状況を的確に把握するとともに、環境の変化及びこれに伴う影響の予測に関する調査及び研究その他の環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査及び研究を実施しなければならない。

(国、県及び他の地方公共団体等との協力)

第22条 町は、良好な環境の保全及び創造に関し広域的な取組みが必要とされる施策について、国、県及び他の地方公共団体等と協力し、その推進に努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第23条 町は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護、その他の地球環境保全に資する施策を推進するものとする。

2 町は、国、県、他の地方公共団体、民間団体等その他関係機関と連携し、地球環境の保全に資する情報の提供、環境の状況の監視及び測定等を実施することにより、地球環境の保全に資する国際協力を推進するよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第24条 町は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第4章 亘理町環境審議会

(設置及び所掌事務)

第25条 良好な環境の保全及び創造に関する基本的事項について審議するため、亘理町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項を審議する。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること

(2) その他良好な環境の保全及び創造に関する重要事項

3 審議会は、前項に定める事項に関し、町長に意見を述べることができる。

(組織)

第26条 審議会は、委員15人以内で組織する。

2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから、町長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 公募による町民

(3) 関係行政機関の職員

(4) 前3号に掲げる者のほか、町長が必要と認めた者

(任期)

第27条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(会長及び副会長)

第28条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選により定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第29条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。

2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(庶務)

第30条 審議会の庶務は、町民生活課において処理する。

(委任)

第31条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(亘理町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 亘理町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成3年亘理町条例第22号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

亘理町環境基本条例

平成20年7月1日 条例第25号

(平成20年7月1日施行)

体系情報
第8類 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成20年7月1日 条例第25号