○建設工事に伴う騒音振動対策技術指針

昭和54年4月1日

目次

1 総論

第1章 目的

第2章 適用範囲

第3章 現行法令

第4章 対策の基本事項

第5章 現地調査

2 各論

第6章 施行時の対策

第7章 土工

第8章 運搬工

第9章 岩石掘削工(省略)

第10章 基礎工

第11章 土留工

第12章 コンクリート工(省略)

第13章 舗装工

第14章 鋼構造物工(省略)

第15章 構造物とりこわし工

第16章 トンネル工(省略)

第17章 シールド工

第18章 軟弱地盤処理工

第19章 仮設工

第20章 定置機械

1 総論

第1章 目的

1 本指針は建設工事に伴う騒音・振動の発生をできる限り防止することにより、生活環境の保全と円滑な工事施行を図ることを目的とする。

2 本指針は、建設工事に伴う騒音・振動の防止について、技術的対策を示すものとする。

第2章 適用範囲

1 本指針は、すべての建設工事に適用することを原則とする。ただし、災害その他の事由により緊急を要する場合は、この限りでない。

特に下記に示す工事については、十分な騒音対策を考慮するものとする。

(1) 学校、保育所、病院、図書館、老人ホーム等の施設の周辺等特に静隠が必要であると考えられる区域で施行される工事

(2) 相当数の住居が集合している区域で施工される工事

(3) 家畜飼育場、精密機械工場、電子計算機施設等に近隣し、騒音、振動の影響が予想される区域で施工される工事

第3章 現行法令

1 騒音振動対策の計画、実施にあたつては、環境基本法、騒音規制法及び振動規制法について十分理解しておかなければならない。

2 地方公共団体によつて、騒音規制法及び振動規制法に定めた特定建設作業以外の作業条例等により、規制、指導を行つているので施工する区域ごとにその内容を十分理解しておかなければならない。

第4章 対策の基本事項

1 建設工事の計画、設計、施工にあたつては、それぞれの段階ごとに騒音対策を検討しなければならない。

2 騒音振動対策については、騒音、振動の大きさを下げるほか、発生期間を短縮するなど全体的に影響の小さくなるように検討しなければならない。

(1) 騒音、振動のより小さい施工法及び建設機械の選択

(2) 作業時間帯、作業工程

(3) 騒音振動源となる建設機械の配置

(4) しや音施設、防振施設の設置

3 建設工事の実施にあたつては、必要に応じ工事の目的、内容等について、事前に住民に対して説明を行い工事実施に協力を得られるように努めるものとする。

4 起業者、施工者は、騒音振動対策が効果的に実施できるように協力しなければならない。

第5章 現地調査

1 建設工事の設計、施工にあたつては、工事現場及び現場周辺の状況について、施工前調査、施工時調査を適宜実施するものとする。

2 施工前調査は、建設工事による騒音振動対策を検討し、工事着手前の状況を把握するために、必要に応じ、次の項目について行うものとする。

(1) 現場周辺状況

工事現場の周辺状況について、家屋、施設等の有無、規模、密集度及び騒音振動源と家屋等との距離等を調査し、騒音振動の影響について検討する。

(2) 暗騒音、暗振動

工事現場の周辺において、作業時間帯に応じた暗騒音、暗振動を測定する。

(3) 建造物等

工事現場の周辺において、建設工事による振動の影響が予想される建造物等について工事施工前の状況を調査する。

3 施工時調査は、建設工事の施工時において、必要に応じ騒音、振動を測定し、工事現場の周辺の状況、建造物等の状態を把握するものとする。

2 各論

第6章 施工時の対策

1 建設工事の施工にあたつては、計画、設計時に考慮された騒音振動対策を更に検討し、確実に実施しなければならない。

2 建設工事の施工にあたつては、工事の円滑化をはかるとともに現場管理に留意し、これらの不十分さに起因する騒音、振動の影響をできる限り少くするように留意しなければならない。

3 建設工事の施工にあたつては採用する建設機械から発生する騒音、振動の実態について、あらかじめ調査しなければならない。

4 建設機械については、点検、整備を十分行い、これらの不十分さに起因する騒音、振動を防止しなければならない。

5 施行法、建設機械の選定にあたつては、工事現場に配置する建設機械の中で、全体の騒音、振動に大きな影響を与えるものに特に留意し対策を検討する必要がある。

6 建設機械の選定にあたつては、建設機械から発生する騒音、振動の大きさに関係する次の要因について理解しておくことが必要である。

(1) 建設機械の種類

(2) 建設機械の型式

(3) 建設機械の動力の種類

(4) 機械の定格出力の大きさ

(5) 機械の負荷の大きさ

(6) 建設機械の老朽度

7 建設機械を用いて作業する場合、空ぶかしをやめ短時間の待合せ時でもできる限りエンジンをとめるなど、不必要な騒音、振動を出さないように留意する必要がある。

第7章 土工

1 掘削はできる限り衝撃力による施工を避け、無理な負荷をかけないようにし不必要な高速運転やむだな空ぶかしを避けて、ていねいに運転しなければならない。

2 掘削積込機から直接トラツク等に積込場合、できる限り静かに行うようにしなければならない。

(締固め)

3 振動、衝撃力によつて締固めを行う場合、建設機械の種類の選定、作業時間帯の設定等について十分留意しなければならない。

第8章 運搬工

1 運搬の計画にあたつては、交通安全に留意するとともに運搬に伴つて発生する騒音振動対策について配慮する必要がある。

2 運搬路の選定にあたつては、あらかじめ道路及び付近の状況について十分調査し、下記事項について留意しなければならない。

なお、事前に、道路管理者、公安委員会(警察)と協議する。

(1) 通勤、通学、買物等で特に歩行者が多く歩車道の区別のない道路はできる限りさける。

(2) 必要に応じ往路、復路を別径路にする。

(3) できる限り舗装道路や幅員の広い道路を選ぶ。

(4) 急な縦断こう配や、急カーブの多い道路は避ける。

3 運搬車の走行速度は、道路及び付近の状況によつては必要に応じ制限を加えるように計画、実施するものとする。

4 運搬路は点検を十分にし、特に必要がある場合は維持補修を計画に組込むなど問題のないように努めなければならない。

5 運搬車の選定にあたつては、運搬物量、投入台数、走行頻度、走行速度等を十分検討しなければならない。

第9章 岩石掘削工

省略

第10章 基礎工

1 基礎工法の選定にあたつては設計時において、

(1) 既製ぐい工法

(2) 場所打ちぐい工法

(3) ケーソン工法

について騒音、振動との関連において総合的な検討を行い、工法を決定しなければならない。

2 既製ぐいを打撃により施工する場合には、次のような騒音振動対策を検討しなければならない。

(1) プレボーリング工法、中掘り工法の採用

(2) 作業時間帯(特に打撃を行う作業時間帯)

3 場所打ちぐい工法には、多くの種類の掘削工法があるが、それらの騒音、振動の程度、騒音、振動を発する部位が異なることがあるので留意しておく必要がある。

4 場所打ちぐい工法では、土砂運搬、コンクリート打設等による騒音、振動の低減について配慮しておかなければならない。また各くいが連続作業で施工されることから作業工程と作業時間帯についても留意しておかなければならない。

5 ニユーマチツクケーソン工法では昼夜間連続で施工されることから、エアーロツクの排気音、合図音及び空気圧縮機等の騒音振動対策を検討しておく必要がある。

第11章 土留工

1 土留工法の選定にあたつては、設計時において、

(1) 鋼矢板土留工法

(2) 鋼ぐい土留板による工法

(3) 地下連続壁工法

について騒音、振動との関連において総合的な検討を行い、工法を決定しなければならない。

2 鋼矢板、鋼ぐいを打撃により施工する場合には、次のような騒音振動対策を検討しなければならない。

(1) アースオーガー併用工法、油圧式押込引抜工法の採用

(2) 作業時間帯(特に打撃を行う作業時間帯)

3 地下連続壁工法は、土留部材を本体構造に利用できる場合や工事現場の周辺の地盤沈下に対する制限が厳しい場合には騒音、振動の低減効果も考慮し採否を検討するものとする。

第12章 コンクリート工

省略

第13章 舗装工

1 舗装にあたつては、組合せ機械の作業能力をよく検討し、不必要な運転や段取り待ちが少くなるように配慮する。

2 舗装版とりこわしに用いる機械の選定にあたつては、

(1) 舗装版破砕機

(2) コンクリートカツター

等の使用について、騒音、振動との関連において総合的な検討を行い、工法を決定しなければならない。また、特に衝撃力を用いる場合には、作業時間帯についても留意しなければならない。

第14章 鋼構造物工

省略

第15章 構造物とりこわし工

1 コンクリート構造物を破砕する場合には、工事現場の周辺の環境を十分考慮し鋼球、火薬類、ブレーカー等による工法から、適当な工法を選定しなければならない。

2 とりこわしに際し小割を必要とする場合には、トラツクへ積込運搬可能な程度にブロツク化し、騒音、振動の影響の少ない場所で処理する方法を検討しなければならない。

3 コンクリート構造物をとりこわす作業現場は、騒音対策、安全対策を考慮して必要に応じ防音効果のあるしやへい幕等の設置を検討しなければならない。

第16章 トンネル工

省略

第17章 シールド工

1 圧気設備等は、設置場所に留意するとともに、必要に応じ騒音振動対策を検討しなければならない。

2 土被りの少ない場所における掘削については、推進に伴う振動に留意しなければならない。

3 ずり、資材の運搬、処理に用いる建設機械は、ていねいに運転しなければならない。

第18章 軟弱地盤処理工

1 軟弱地盤処理工にあつては、施工法に応じ、できる限り騒音振動を低減させるように配慮しなければならない。

第19章 仮設工

1 仮設資材の取付け、取外し及び積込み積卸しは、ていねいに行なわなければならない。

2 覆工板の取付けにあたつては、通行車両によるばたつき、はねかえり等による騒音、振動の防止に留意しなければならない。

第20章 定置機械

1 可搬式のものは、防音対策を講じた機械を使用するものとする。

2 定置式のものは、騒音振動対策を講じなければならない。

3 排水ポンプの使用にあたつては、騒音の防止に留意しなければならない。

4 空気圧縮機、発動発電機排水ポンプ等は、工事現場の周辺の環境を考慮して設置しなければならない。

(平成18年9月29日告示第124号)

この告示は、平成18年10月1日から施行する。

建設工事に伴う騒音振動対策技術指針

昭和54年4月1日 種別なし

(平成18年10月1日施行)

体系情報
第10類 設/第1章
沿革情報
昭和54年4月1日 種別なし
平成18年9月29日 告示第124号