○会計事務の手引き

令和5年3月31日

亘理町会計課

目次

第1章 会計制度の基本的事項

第1節 財務の概念

第2節 出納機関

1 会計管理者の設置

2 会計管理者の職務権限

3 会計管理者の審査権

4 会計管理者の補助機関(現金出納員その他の会計職員)

第3節 指定金融機関

第4節 予算

1 予算の役割

2 予算に関する事項(予算の6原則)

3 予算の種類

4 歳入歳出予算

5 予算の流用・充用

第5節 決算

第2章 収入

第1節 収入の概念

1 収入の意義

2 収入の根拠

3 収入の手続

第2節 調定

1 調定の意義

2 調定の調査事項

3 調定の事務手続

4 調定の変更等

第3節 納入の通知

1 納入通知の意義

2 納入通知の方法

3 納入期限

4 納入通知書の再発行

第4節 収納

1 収納の意義

2 収納の方法

3 督促及び延滞金

4 収入未済の処理

5 不納欠損処分

6 歳入の訂正

7 過誤納金の処理

第3章 支出

第1節 支出の概念

1 支出の意義

2 支出の根拠

3 支出の手続

4 支出の原則

5 公金の支出禁止及び制限

第2節 支出負担行為

1 支出負担行為の意義

2 支出負担行為の整理

第3節 会計管理者に対する合議

1 事前合議の意義

2 事前合議の対象範囲

第4節 支出命令

1 支出命令の意義

2 支出命令の事務処理

3 立替払

4 債権者登録

5 その他

第5節 支出の特例

1 資金前渡

2 概算払

3 前金払

参考資料

◎ 歳出予算に係る節の区分

・節の内容【予算の見方・つくり方(学陽書房発行)抜粋】

◎ 凡例

「法」…………………… 地方自治法(昭和22年法律第67号)

「令」…………………… 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)

「施行規則」…………… 地方自治法施行規則(昭和22年内務省令第29号)

「地方税法」…………… 地方税法(昭和25年法律第226号)

「支払遅延防止法」…… 政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号)

◎ 参考文書

・会計事務の手引き(作成:宮城県出納局)

・地方財務実務提要(発行:株式会社ぎょうせい)

・予算の見方・つくり方(発行:株式会社学陽書房)

・予算執行等に関する手引き(作成:亘理町企画財政課、平成24年3月廃止)

◎ 改訂

区分

作成年月日

備考

新規作成

平成22年2月22日

平成22年4月1日から実施

第1次 改訂

平成24年3月23日

平成24年4月1日から実施

第2次 改訂

平成24年11月28日

平成25年1月1日から実施

第3次 改訂

平成31年3月13日

平成31年4月1日から実施

第4次 改訂

令和5年3月31日

令和5年4月1日から実施

第5次 改訂



第1章 会計制度の基本的事項

第1節 財務の概念

地方自治法では、第2編第9章に「財務」という章を設け、地方公共団体の財務運営に関する基本規定を定めています。

「財務」、「会計」、「出納」という用語について、次のそれぞれの意味で使用しています。

区分

内容

財務

地方公共団体の予算、収入、支出及び財産に関する事務並びにこれに附帯する事務の総称をいいます。

会計

地方公共団体の現金、有価証券及び物品の出納、保管並びにこれに附帯する事務をいいます。

地方自治法に規定する財務に関する事務のうち、予算の執行、契約の締結及び公有財産の管理を除き、収入、支出のうちの現実の収支の執行手続、決算、現金及び有価証券並びに物品に関する事務を総称する意味で用いられます。

※ 「会計」は、「財務」の一部分をいいます。

出納

地方公共団体の現金の収入支出、物品及び有価証券の受納、払出しをすることをいいます。

※ 「出納」は、「会計」の中心部分を占めているといえます。

第2節 出納機関

1 会計管理者の設置

地方自治法では、地方公共団体の会計事務をつかさどるため、会計管理者を置くと規定しています。【法168】

会計管理者は、町長の補助機関の一つであり町長の会計監督を受けますが【法149Ⅴ】、会計事務の執行については町長から独立した権限を有しており、その事務の執行については、町を代表するものです。

2 会計管理者の職務権限

○地方自治法〔抜粋〕

(会計管理者の職務権限)

第170条 法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、会計管理者は、当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどる。

2 前項の会計事務を例示すると、おおむね次のとおりである。

(1) 現金(現金に代えて納付される証券及び基金に属する現金を含む。)の出納及び保管を行うこと。

(2) 小切手を振り出すこと。

(3) 有価証券(公有財産又は基金に属するものを含む。)の出納及び保管を行うこと。

(4) 物品(基金に属する動産を含む。)の出納及び保管(使用中の物品に係る保管を除く。)を行うこと。

(5) 現金及び財産の記録管理を行うこと。

(6) 支出負担行為に関する確認を行うこと。

(7) 決算を調製し、これを普通地方公共団体の長に提出すること。

3 普通地方公共団体の長は、会計管理者に事故がある場合において必要があるときは、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員にその事務を代理させることができる。

3 会計管理者の審査権

会計管理者は、町長の命令がなければ支出することはできませんが、命令を受けた場合には、当該支出命令の前提となる支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出することができません。【法232の4】

4 会計管理者の補助機関(現金出納員その他の会計職員)

会計管理者の事務を補助させるため、出納員その他の会計職員を置くことになっています。【法171】

本町では、現金出納員、物品出納員、現金取扱員、物品取扱員及び会計員を置いています。現金出納員、現金取扱員及び物品取扱員の設置箇所及び現金出納員等となるべき者の職は、財務規則別表第1に規定されています。【財務規則4】

第3節 指定金融機関

町の公金の出納・保管は会計管理者の所掌事務ですが、地方自治法では町が金融機関を指定し、この金融機関に公金の収納・支払事務を行わせる制度を設けています。【法235②】

区分

金融機関名

指定金融機関

(株)七十七銀行

収納代理金融機関

(株)仙台銀行、宮城第一信用金庫、あぶくま信用金庫

みやぎ亘理農業協同組合、(株)ゆうちょ銀行、相双五城信用組合

第4節 予算

1 予算の役割

予算とは、一定期間における収入支出を見積もることをいい、その内容は、<1>歳入歳出予算、<2>継続費、<3>繰越明許費、<4>債務負担行為、<5>地方債、<6>一時借入金、<7>歳出予算の各項の経費の金額の流用の7項目で構成されています。【法215】

その年度の行政施策内容を決定づける重要なものであり、市町村が行う行政事務については、予算の定める目的、金額に従い、すべて予算を通じて実施されます。

2 予算に関する事項(予算の6原則)

(1) 会計年度及びその独立の原則【法208】

会計年度は収入支出を4月1日から翌年の3月31日までの一定期間ごとに区分し、会計年度を独立させ、その年度の収支をほかの年度の収支と混同してはならない。

(例外:継続費、繰越明許費、事故繰越し等)

(2) 予算単一主義の原則【法209】

予算はできるだけ議会の審議及び住民の理解のうえからも見やすくして、単一のものが望ましい。例外として、特別会計が設けられる。

(3) 総計予算主義の原則【法210】

一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。

(4) 予算の事前議決【法211】

当初予算は、年度開始前に議会の議決を経なければならない。市町村は、年度開始前20日までに議会に提出しなければならない。

(5) 予算統一の原則【法216、令147】

予算規模の拡大、複雑化により、これらの統一が必要とされ、分科の基準が定められている。

(6) 予算公開の原則【法219】

議会の議決後、その要領を住民に公表しなければならない。

3 予算の種類

(1) 当初予算

年度開始前に年間予算として編成し成立した予算をいいます。

(法的用語ではなく、通常予算又は本予算ともいいます。)

当初予算は、地方自治法及び町財務規則などに基づいて、所定の様式、要件を備え、議会の議決を経てはじめて成立し、新年度からの予算執行が始まります。【法211】

(2) 補正予算

予算が成立した後生じた事由に基づいて、既定の予算に追加・変更を加える必要がある場合に調整される予算であり、当然、議会の議決を必要とします。

なお、歳出の額を追加する場合、当然ながらそれに見合う歳入財源がなければ、補正予算は成り立ちません。【法218①】

(3) 暫定予算

予算が年度開始前までに成立する見込みがない場合に、本予算が成立するまでの間の行政の空白を防ぐ「つなぎ予算」として編成される予算です。【法218②】

(4) 骨格予算

法令上の用語ではありませんが、年間予算として、政策的経費を除いて義務的経費などの必要最小限の経費のみを計上した予算であり、よく首長の選挙前に作成され、選挙後において、新規事業などの政策的経費を追加する補正予算を「肉付予算」と呼んでいます。

4 歳入歳出予算

一会計年度における一切の収入、支出をそれぞれ「歳入」、「歳出」といい、一会計年度における収入、支出の見積りをいいます。

○ 歳入=歳出の支払財源に充てられる。見積りであるため、歳入予算額を超えて収入することができます。

○ 歳出=行政活動・行政サービスに係る経費。支出することができる限度額を表し、歳出予算額を超えて支出することはできません。

(例外:特別会計における弾力条項【法218④】)

[新年度予算編成の流れ]

本年度

11月1日まで

次年度の予算編成方針の決定、各課へ通知

各課において予算要求書等の作成【財務規則9~12】

12月20日まで

各課予算要求書等財政課長あて提出

1月初旬

予算の調整(長、財政、各課査定)

2月下旬

予算案等の作成

3月上旬

議会に提出【法211】(遅くても3月12日まで提出)

議決・成立

新年度

4月1日

予算の執行開始

[歳入歳出予算の構成]

<予算科目>

款、項、目、節 → 歳入歳出予算の性質、用途及び種類を明らかにするもの。

区分

予算科目

説明

議決科目

執行科目

歳入

性質別

原則

性質別

一財特財

性質別・目的別

一財特財

性質別・目的別

具体的な内容

歳出

目的別

目的別

目的別

性質別

具体的な内容

<議決科目>

款、項 → 議会の議決対象とされている。【法216】

<執行科目>

目、節 → 予算に関する説明書

歳入歳出予算の各項の内容を明らかにするもの。【令144、施行規則15】

※ 亘理町の場合、目において事業毎に「細目」、節においては「細節」を設定【財務規則21】

5 予算の流用・充用

(1) 費目流用

歳入歳出予算は、収入支出の見積表であり、予算編成後における諸般の事情の変化等により既定予算の過不足等が発生する場合もあり得ます。このような場合、行政運営の円滑化を図るため、補正予算による議会に付議するまでもない軽微な事柄等について、既定予算の範囲内で賄いがつく場合、経費金額の流用により過不足額を調整するものです。(一定の目的に充てた経費を抑制し、その財源を他の支出費目の増額に充当すること。)

当然、費目流用を行う場合には調書により会計管理者へ通知しなければなりません。

款項間の相互の費目流用はできません。(款項は議決科目であり、支出の最高限度を規制しているため。ただし、予算で定めたものを除く。)【財務規則24】

【流用禁止科目】

1 報酬

2 給料、職員手当等、共済費(予算で定めたものを除く。)

3 報償費

4 交際費

5 負担金、補助及び交付金(予算で定めたものを除く。)

※ 財務会計上、細目を設けているため、同一目内における細目間の同じ節の流用は可能としています。

(2) 費目流用調書

① 財務会計システム上、流用禁止科目については入力不可となっていますが、予算で定めている場合などは財政課に連絡してください。

② 同一目内で、かつ同節間の流用及び節内流用については、主管課長専決事項ですが、財務会計システム上、財政課で流用決定入力を行う必要があることから、同一目内で、かつ同節間の流用及び節内流用の伝票については財政課財務班副班長までまわしてください。流用調書は流用決定入力後各担当に戻されますので、その後支出する伝票に添付してください。

(3) 予備費【法217】

予備費は、予算に計上されておらず、予見できないものであり支出不可避な「予算外の支出」及び予算計上の金額であっても、なお不足する場合の「予算超過の支出」に充てられるものです。(予算の補正を行わない軽微なもの、費目流用できる以外のもの等)

予備費の使用は、議会の議決を必要とせず、長の権限で行えますが、予備費充用調書において会計管理者に通知しなければなりません。予備費使用の措置は、支出しようとする経費の一部を予備費で賄う場合は、当該科目の予算残高を増額し、経費の全額を賄う場合は、新たな支出科目を設けて予算額を増額することになり、直接予備費からの支出として取り扱うものではありません。

① 一般会計は、必ず予備費を設けなければなりませんが、特別会計は任意とされています。

② 予備費は、一旦充用したあとは、繰り戻すことはできません。

③ 予備費は、議会の否決した費途に充てることはできません。

※ 予備費充用の必要がある場合は、事前に財政課に連絡してください。

第5節 決算

決算とは、一会計年度の歳入歳出予算の執行に係る実績結果を表し、予算の執行後に作成され、監査委員の審査に付したあと、議会の認定を得ることによって確定します。この手続によって、歳入歳出予算に対する実際の収入支出の状況が明らかにされ、予算の適正な執行が行われたかが確認されることになります。【法233】

予算はその団体の長が調整しますが、決算については会計管理者が調整することになっており、会計管理者は、毎会計年度ごと、出納が閉鎖されたあと、3か月以内に決算書及び付属資料を長に提出し、長は、これを監査委員の審査に付し、監査委員の意見書とともに、次の当初予算を審議するときまでに、議会の認定に付さなければならないことになっています。

議会による決算の認定は、歳入歳出予算の執行の実績を確認し、その執行の適否を審査するものであり、議会の決算の認定を得ることによって、団体の長の責任解除の意義を持っていますが、議会が認定しない場合でも、決算の法的効力に影響はなく、団体の長の政治的、道義的責任の問題が残るにとどまるものです。

[決算の流れ]

本年度

4月1日

事業開始

3月31日

事業終了 すべての事業に係る支出についての支出負担行為(支出の前提である債務負担の確定)の完了

翌年度

4月1日

出納整理期間 3月31日までに確定した債権・債務の未収未払の整理期間【法235の5】

5月31日

出納閉鎖期日 出納閉鎖期日以降における収入支出は、一切行えない。過誤納金などの精算は5月31日までに終了しなければならないが、この期間内に終わらない場合は、6月1日以降翌年度収入・支出として取り扱う。

おそくとも8月31日まで

会計管理者は決算書及び付属資料を調整し、町長へ提出

(出納閉鎖後3か月以内)


町長は、監査委員へ審査依頼


町長は、決算書及び付属資料並びに監査委員の意見書を議会に提出(次の当初予算を審議するときまで)


議会の認定

第2章 収入

第1節 収入の概念

1 収入の意義

収入とは、町の各般の行政需要を満たすための支払の財源となるべき現金の収納をいいます。

収入行為は、日々連続して行われるものですが、会計年度で区切った場合に「歳入」となります。

すなわち、歳入とは、一会計年度中における一切の収入のことをいいます。

2 収入の根拠

収入は、地方税法その他の法律、政令、条例、規則、契約の定めるところにより、あるいは、議会の議決を経て徴収又は収納されるものです。【法96①Ⅳ】

3 収入の手続

収入の事務手続は、命令系統の行為と出納系統の行為に分けることができます。

(1) 命令系統の行為(町長権限)

収入命令にかかわる行為をいいます。具体的には、「調定」(収入の原因となる事実が発生したときその内容を調査し決定する行為)と、「納入の通知」(納入すべき義務を有する者に通知する行為)からなります。

(2) 出納系統の行為(会計管理者権限)

実際の現金の出納にかかわる行為をいいます。具体的には、納入の通知に基づき納入された現金を受領する行為をいいます。(これを「収納」といいます。)

第2節 調定

1 調定の意義

調定とは、その歳入の発生した権利内容を具体的に調査して明確にし、所属年度、歳入科目、収入すべき金額、納入義務者等を決定する行為、すなわち、町の内部的意思決定の行為をいいます。

歳入を収入するときは、調定を行い、納入義務者に対して納入の通知を行わなければなりません。その前提として、必ず法令又は契約等に基づいて合法的に発生した権利であることが必要です。【法231、令154②】

2 調定の調査事項

調定を行うに当たっては、次の点を調査し、その結果誤りがなければ収入すべきものと決定します。【令154①】

◎ 歳入の調定の際の調査項目

調査項目

調査方法等

収入の根拠

・法令、契約等に徴収することができる旨の規定があるか。

所属年度

・所属年度が歳入の会計年度所属区分【令142】に従っているか。

歳入科目

・予算科目に誤りはないか。

納入すべき金額

・法令、契約等により正しく算定されているか。

納入義務者

・法令、契約等に照らし、適正か。

納入期限

・法令、契約等に照らし、適正か。

・発生の都度行うべき収入の納期は、調定の日から20日以内か。

なお、歳入の会計年度所属区分は、自治法施行令第142条に規定されています。

○地方自治法施行令〔抜粋〕

(歳入の会計年度所属区分)

第142条 歳入の会計年度所属は、次の区分による。

(1) 納期の一定している収入は、その納期の末日(民法(明治29年法律第89号)第142条、地方自治法第4条の2第4項、地方税法(昭和25年法律第226号)第20条の5又は当該期日が土曜日に当たる場合にその翌日をもつて納期の末日とする旨の法令、条例若しくは規則の規定の適用がないものとしたときの納期の末日をいう。次項において同じ。)の属する年度。ただし、地方税法第321条の3の規定により特別徴収の方法によって徴収する市町村民税及び同法第41条第1項の規定によりこれとあわせて徴収する道府県民税(同法第321条の5の2の規定により納入するものを除く。)は、特別徴収義務者が同法第321条の5第1項又は第2項ただし書の規定による徴収をすべき月の属する年度

(2) 随時の収入で、納入通知書又は納税の告知に関する文書(以下本条において「通知書等」という。)を発するものは、当該通知書等を発した日の属する年度

(3) 随時の収入で、通知書等を発しないものは、これを領収した日の属する年度。ただし、地方交付税、地方譲与税、交付金、負担金、補助金、地方債その他これらに類する収入及び他の会計から繰り入れるべき収入は、その収入を計上した予算の属する年度

2 前項第1号の収入について、納期の末日の属する会計年度の末日(民法第142条、地方自治法第4条の2第4項、地方税法第20条の5又は納期の末日が土曜日に当たる場合にその翌日をもつて納期の末日とする旨の法令、条例若しくは規則の規定の適用があるときは、当該延長された日)までに申告がなかつたとき、又は通知書等を発しなかつたときは、当該収入は、申告があつた日又は通知書等を発した日の属する会計年度の歳入に組み入れるものとする。

3 普通地方公共団体の歳入に係る督促手数料、延滞金及び滞納処分費は、第1項の規定にかかわらず、当該歳入の属する会計年度の歳入に組み入れるものとする。

3 調定の事務手続

(1) 調定の時期

① 調定は、原則的には、納入の通知及び収納に先立って行います。(財務会計システム上、調定伺票と同時に納入通知書兼領収書の発行が可能です。)しかし、中には各施設の使用料や各種手数料等の窓口収入のように、事前に調定することが困難であり、現金の収納行為が先行するものがあります。前者を事前調定、後者を事後調定といいます。

区分

調定の時期【財務規則30、31】

事前調定

・法令又は契約等に納期の定めがあるものにあっては、納期の20日前まで

・その他のものにあっては、その原因の発生した都度

事後調定

・領収又は収納された日(既に調定が行われている場合を除く。)

[例外:納入義務者が多数であり、かつ、少額である収入については、1月の期間を限度とし、月末に集合調定することができる。]

② 調定の時期は、一般的に原因の発生の都度行うことが基本です。

③ 国県補助金、交付金等の調定の時期は、交付決定通知(指令書等)に基づき受入額が確定したときです。具体的には、町が文書収受した日を調定日として入力します。収入のあったときや年度末に行うものではありません。また、交付額の変更通知や交付額確定通知があった場合は、随時調定額の変更等を行い、年度末にまとめて行うことがないよう適切に事務処理してください。

なお、交付決定通知(指令書等)の日付け(施行日)が3月中であっても、その文書収受日が4月以降になった場合の調定の時期は、前年度の末日(3月31日。その日が土日の場合は、その前日)とします。

④ 1月の期間を限度とし、一括して集合調定する場合の調定日は、その月の末日(休日の場合はその前日。図書館、資料館は除く。)とします。【財務規則31②】

(2) 調定の事務処理

① 歳入の調定は、調定伺票により行い、直ちに会計管理者に通知しなければなりません。【財務規則32】

② 国県補助金、交付金等の調定伺票には、交付決定通知(指令書等)の写しを添付し、納入予定日を摘要欄に記載してください。分割納入される場合は、その旨を摘要欄に記載してください。いずれも手書きで結構です。(次に記述する記載例のとおり)くれぐれも、調定が遅延することのないように、確実に処理してください。

また、交付決定通知の日(町が文書収受した日)と納入予定日との間隔がない場合は、直ちに会計課へ電話連絡をお願いします(会計課では何の入金かわからず、収入処理ができないため。)

【摘要欄記載例1】

納入予定日 (元号)4年3月15日

【摘要欄記載例2】

納入予定日 (元号)4年4月10日頃(又は、(元号)4年4月上旬)

【摘要欄記載例3】

分割納入

1回目 (元号)4年6月下旬頃 1,000,000円

2回目 (元号)4年9月下旬頃 1,000,000円

3回目 (元号)4年12月下旬頃 1,000,000円

③ 会議室使用料その他の調定伺票には、調定額の根拠となる書類で積算内容のわかるものを添付してください。【別冊記載例1参照】

添付資料がそろっていれば、「公金払込書兼領収証書」の写しの貼付は、事務軽減のため不要とします。なお、原本は領収書を兼ねるものですので、現金出納員等が大切に保管・管理してください。

④ 1月の期間を限度とし、一括して集合調定する場合は、調定伺票の入力を遅くとも翌月5日までに行い、翌月10日(その日が土日祝日の場合はその前日)までに会計課必着としてください。〔収納金を会計課に納めるのは、調定伺票の入力後としてください。〕

⑤ 特別会計においては、調定伺票の上部余白に特別会計区分の丸型ゴム印を必ず押印してください。

4 調定の変更等

調定を行ったあと、調定金額の計算誤りその他の事由により当該調定の変更又は取消しを行う必要が生じたときは、変更の事由に基づく増加相当額又は減少相当額について調定入力し、次のように処理します。【財務規則34】

(1) 調定金額を増額したとき

① 変更の事由に基づく増額分について追加調定入力します。

② 既に納入通知書を発行しているときは、増額調定金額の納入通知書を新たに発行し、変更前の納入通知書の追加分である旨を明記します。

(2) 調定金額を減額したとき

① 収入金が収納済みであるときは、減額調定入力を行い、減額分について速やかに誤納又は過納として還付等の手続をします。

② 収入金が収納未済であるときは、減額調定入力を行い、正当金額による納入通知書を発行し、既に発行した納入通知書を取り消した旨を通知します。

(3) 調定を取り消しした場合

① 収入金が収納済みであるときは、速やかに還付の手続をします。

② 収入金が収納未済であるときは、納入義務者に取り消した旨を通知します。

第3節 納入の通知

1 納入通知の意義

納入通知とは、町に対して金銭を納付する納入義務者に履行の要求をする対外的行為をいいます。

2 納入通知の方法

【納入通知書】

納入の通知は、納入義務者に対し、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納期限、納入場所及び納入請求の事由を記載した納入通知書によりしなければなりません。

納入義務者への通知は、納期の10日前までに通知しなければなりません。ただし、納入の通知を必要としない収入、又はその性質上納入通知により難い収入については、この限りではありません。口頭、掲示等によってこれをすることができます。

【令154②、③、財務規則33】

〔例〕

1 証明手数料その他これらに類するもので直接窓口等において取扱う収入

2 観覧料その他これに類する収入

3 予防接種の実費その他これに類する収入

4 せり売りその他これに類する収入

5 延滞金その他これに類する収入

6 その他納入通知書により難いと認められる収入

(前節 3調定の事務手続き 参照:調定伺票と同時に納入通知書兼領収書の発行が可能)

3 納入期限

納入の通知をする場合の納期限は、法令その他定めがある場合を除き、調定の日から20日以内(初日不算入)において適宜の納期限を定めます。その場合、納入義務者の資金繰り等を考慮し、また、金融機関の休日に当たらないように配慮する必要があります。

【参考1】

納入期限の起算日については、民法第140条の適用により、調定の日は期間に算入せず、その翌日から起算します。したがって、調定の日は算入されません。

納入期限の末日が祝日又は日曜日に当たるときは、民法第142条の適用により、その翌日が納入期限の末日となります。ただし、土曜日については、民法第142条が適用されないので、その前日を納入期限の末日として処理します。

4 納入通知書の再発行

納入義務者から既に発行した納入通知書を亡失し、又は汚損した旨の届出を受けたときは、納入通知書を再発行しなければなりません。その際は、再発行年月日とともに、「再発行」と表示します。【財務規則35】

【参考2】

再発行された納入通知書は、納入義務者に納付の手段を与えるにすぎないことから、既発行の納入通知書の内容を変更することはできません。

第4節 収納

1 収納の意義

収納とは、町が納入義務者から現金等を領収する行為をいいます。

町における収納機関は、会計管理者、現金出納員、現金取扱員となっており、収納事務を取り扱います。

そのほか、指定金融機関等の公金の収納を委託されている金融機関(法235②)、収納の委託を受けている私人(令158、158の2)も収納機関です。

2 収納の方法

収納の方法は、現金による収納が一般的ですが、現金に代えて証券、口座振替の方法により収納することができます。【法231の2】

(1) 現金による収納

現金出納員等が現金を直接収納したときは、領収書を納入義務者に交付し、翌日(営業日)までに公金払込書によって指定金融機関等に払い込みます。【財務規則39④】

領収書は、納入通知書の領収欄に財務規則別記様式に定める領収印を押したものとします。ただし、領収書を交付し難いものは、入場券等で領収金額が表示されたものをもって領収書に代えることができます。【財務規則39①】

○亘理町財務規則〔抜粋〕(平成7年亘理町規則第6号)

(会計管理者等の公金の収納)

第39条 会計管理者、現金出納員又は現金取扱員(以下「会計管理者等」という。)は、公金を収納したときは、領収証書を交付しなければならない。ただし、領収証書を交付し難いものについては、この限りでない。

2 現金出納員及び現金取扱員が領収証書に押印する領収印は、別記様式のとおりとする。

3 金銭登録機により収納する窓口事務に係る手数料は、金銭登録機の記録紙をもって前項の領収証書に代えることができる。

4 会計管理者等の収納した公金は、翌日までに公金払込書によって指定金融機関等に払い込まなければならない。ただし、特別の事情があるものについては、会計管理者が別段の取扱方法を定めることができる。

5 会計管理者は、現金出納員及び現金取扱員の収納した公金について報告を徴し、自己の収納した公金と合わせ、毎日、収納金調書を作成しなければならない。

(2) 口座振替による収納

口座振替による収納とは、納入義務者が指定金融機関等に預金口座を設けており、納入義務者から口座振替の方法による納付の申出があったときに、納入義務者の預金口座から振替収納する方法をいいます。【法231の2③、令155】

(3) 証券による収納

証券による収納とは、口座振替による収納と同様に、納入義務者の便宜を図るために、一定の条件を備えた証券で納入する方法です。

収納できる証券は、小切手、国債、地方債又はこれらの利札で、納付証券としての条件を備え、かつ、納付金額を超えないものに限ります。【法231の2③、令156①、財務規則40、41】

(4) 歳入の徴収又は収納の委託

公金は、その性格からして、取扱い上の責任を明確にし、公正の確保を期することが要求されることから、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、私人による取扱いを禁止しています。【法243】

① 使用料、手数料等の特例

特別の定めとして、地方公共団体は、歳入のうち使用料、手数料等については、その収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認められる場合に限り、私人にその徴収又は収納の事務を委託することができるとされています。【令158①】

徴収又は収納の事務を委託する場合は、委託契約を締結し、その旨を告示し、かつ、公表しなければなりません。【令158②、財務規則42①】

② 地方税の特例

平成15年の地方自治法施行令の一部改正により、歳入のうち地方税についても、その収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認められる場合に限り、その収納の事務を適切かつ確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有する者として規則で定める基準を満たしている者に委託することができるとされました。【令158の2①】

規則で定める基準は、委託する収納事務について相当の知識及び経験を有することなどです。【財務規則42の2】

委託契約等については、前記①と同様です。

なお、徴収又は収納の事務を委託した場合、受託者が領収証書を発行することになりますが、その名義は次の例を参考にしてください。また、領収印は財務規則別記様式に準じたものを使用することが適当です。

〔例〕

亘理町○○使用料収納事務受託者

亘理町字下小路100番地10(電話34―0000)

株式会社 ○○○商店

代表取締役 ○○○○ ((印))

○地方自治法〔抜粋〕

(私人の公金取扱いの制限)

第243条 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、公金の徴収若しくは収納又は支出の権限を私人に委任し、又は私人をして行なわせてはならない。

○地方自治法施行令〔抜粋〕

(歳入の徴収又は収納の委託)

第158条 次に掲げる普通地方公共団体の歳入については、その収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認められる場合に限り、私人にその徴収又は収納の事務を委託することができる。

(1) 使用料

(2) 手数料

(3) 賃貸料

(4) 物品売払代金

(5) 寄附金

(6) 貸付金の元利償還金

2 前項の規定により歳入の徴収又は収納の事務を私人に委託したときは、普通地方公共団体の長は、その旨を告示し、かつ、当該歳入の納入義務者の見やすい方法により公表しなければならない。

3 第1項の規定により歳入の徴収又は収納の事務の委託を受けた者は、普通地方公共団体の規則の定めるところにより、その徴収し、又は収納した歳入を、その内容を示す計算書(当該計算書に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を含む。)を添えて、会計管理者又は指定金融機関、指定代理金融機関、収納代理金融機関若しくは収納事務取扱金融機関に払い込まなければならない。

4 第1項の規定により歳入の徴収又は収納の事務を私人に委託した場合において、必要があると認めるときは、会計管理者は、当該委託に係る歳入の徴収又は収納の事務について検査することができる。

第158条の2 普通地方公共団体の歳入のうち、地方税については、前条第1項に規定する場合に限り、その収納の事務を適切かつ確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有する者として当該普通地方公共団体の規則で定める基準を満たしている者にその収納の事務を委託することができる。

2 前項の規定により地方税の収納の事務の委託を受けた者(以下のこの条において「受託者」という。)は、納税通知書その他の地方税の納入に関する書類に基づかなければ、地方税の収納をすることができない。

3 会計管理者は、受託者について、定期及び臨時に地方税の収納の事務の状況を検査しなければならない。

4 会計管理者は、前項の検査をしたときは、その結果に基づき、受託者に対して必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

5 監査委員は、第3項の検査について、会計管理者に対し報告を求めることができる。

6 前条第2項及び第3項の規定は、第1項の場合にこれを準用する。

○亘理町財務規則〔抜粋〕(平成7年亘理町規則第6号)

(歳入の徴収又は収納の委託)

第42条 町長は、令第158条第1項又は第158条の2第1項の規定により歳入の徴収又は収納の事務を私人に委託しようとするときは、会計管理者と協議のうえ、次に掲げる事項について委託契約を締結するものとする。

(1) 徴収又は収納すべき金額及びその種類

(2) 委託期間

(3) 記録管理の方法

(4) 担保及び弁償責任

(5) 委託料の額並びに支払の時期及び方法

(6) 会計管理者の検査

(7) その他委託事務の執行手続に必要な事項

2 前項の規定により徴収又は収納の事務の委託を受けた者は、町長が特に認める場合を除き、町長の発行する身分証明書を携帯してその事務に従事しなければならない。

3 徴収又は収納した公金は、第39条第4項の規定に準じて指定金融機関等に払い込まなければならない。

(収納事務の委託基準)

第42条の2 令第158条の2第1項に規定する規則で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

(1) 委託する収納事務又はこれに類する事務について相当の知識及び経験を有すること。

(2) 委託する収納事務を遂行するに足りる事業規模を有し、かつ、経営基盤が安定していること。

(3) 電子計算機による情報システムその他委託する収納事務を遂行するために必要な体制が整備されていること。

(4) 収納に係る事項を帳簿(電子計算機を利用して作成するものを含む。)によって正確に記録し、かつ、当該記録を遅滞なく提供することができること。

(5) 収納金の安全の確保のために十分な措置を講ずることができること。

(6) 収納金の払込を確実かつ速やかに行うことができること。

(7) 納入者に関する情報漏えい、改ざん、滅失、き損の防止その他納入者に関する情報の適正な管理のために必要な管理体制を有すること。

(指定納付受託者の指定)

第42条の3 町長は法第231条の2の3第1項に規定する指定納付受託者(以下「指定納付受託者」という。)の指定をしようとするときは、次に掲げる事項について会計管理者に協議しなければならない。

(1) 納入義務者が指定納付受託者に納付を委託する歳入(歳入歳出外現金を含む。以下この項において同じ。)の種類

(2) 納入義務者が指定納付受託者に歳入の納付を委託することを申し出る方法

(3) 指定納付受託者が歳入を納付する時期及び方法

(4) 手数料

(5) 担保及び賠償責任

(6) その他納付の事務の執行に必要な事項

2 町長は、指定納付受託者の指定をしたときは、その旨を告示しなければならない。

3 町長は、指定納付寿受託者がその名称、住所又は事務所の所在地の変更を町長に届け出たとき及び指定納付受託者の指定を取り消したときは、その旨を告示しなければならない。

【参考3】

1 「私人」には、自然人ばかりでなく、法人も法人格のない団体(この場合は委託の相手は、代表者である。)も含まれる。

2 「徴収」とは、地方公共団体の歳入を調定し、納入の通知をし、収入を受け入れる行為をいう。

3 私人に歳入の徴収を委託した場合は、私人が納入通知書を発行することとなる。(昭38.12.19通知)

4 滞納処分のできる使用料、手数料について、督促状の発行、延滞金の徴収及び滞納処分は私人に委託できない。(昭38.12.19通知)

5 「見やすい方法」とは、たとえば、新聞、地方公共団体の公報及び広報紙等に掲載して行う方法をいう。(昭38.12.19通知)

6 歳入の徴収を委託された私人は、法第243条の2の2の賠償責任は負わないが、民法上の賠償義務は負うものである。(昭38.12.19通知)

3 督促及び延滞金

(1) 督促

① 督促とは、納入義務者が納入期限までに収入金を納付しない場合に期限を指定して、その納付を催告することをいいます。【法231の3】

② 納入者が納期限までに納入しないとき、納入期限後20日以内に督促状により督促しなければなりません。【財務規則47①】

③ 督促状の指定納付期限は、督促状を発した日から10日以内の日とします。【財務規則47②】

【参考4】

督促は、時効中断の効力を有します。(法236④)

ただし、最初の督促のみに限られます。(行実 昭和44.2.6)

(2) 延滞金

延滞金とは、税のほか分担金、使用料、加入金、手数料及び過料その他の普通地方公共団体の歳入が納期限までに納付されず、督促したときに町条例の定めるところにより徴収するものです。

○亘理町税外収入金の督促及び延滞金徴収条例(昭和54年亘理町条例第14号)

(趣旨)

第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第231条の3第2項の規定に基づき、分担金・使用料・加入金・手数料及び過料その他町の歳入(以下「税外収入金」という。)の督促及び延滞金の徴収に関し必要な事項を定めるものとする。

(督促)

第2条 町長は、歳入を納期限までに納付しない者があるときは、納期限後20日以内に督促状により督促しなければならない。ただし特別の事情があるときは、この限りでない。

2 前項の督促については、督促状を発した日から10日以内の納期限を指定しなければならない。

(延滞金の徴収)

第3条 税外収入金の納付について督促を受けた者に係る延滞金の額及び徴収方法については、亘理町町税条例(昭和34年亘理町条例第31号)の例による。

(延滞金の減免)

第4条 町長は、納期限までに分担金等を納付しなかつたことについてやむを得ない理由があると認めるときは、前条の延滞金の全部又は一部を免除することができる。

(委任)

第5条 この条例の施行に関し必要な事項は町長が定める。

この条例は、昭和55年1月1日から施行する。

(昭和58年3月7日条例第17号)

この条例は、昭和58年4月1日から施行する。

(平成25年12月13日条例第24号抄)

1 この条例は、平成26年1月1日(以下「施行日」という。)から施行する。

2 第1条、第2条及び第5条から第8条までの規定による改定後の各条例の規定中延滞金に関する部分は、延滞金のうち施行日以後の期間に対応するものについて適用し、施行日前の期間に対応するものについては、なお従前の例による。

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

4 収入未済の処理

調定した歳入で出納閉鎖日までに収納することができなかった歳入(不納欠損として整理したものを除く。)は、6月1日をもって翌年度に繰り越すとともに、調定繰越通知書により会計管理者に通知します。【令160、財務規則49】

過年度未収金については、出納閉鎖の概念がないので、過年度に係る未収金が繰り越された年度の末日(3月31日)までに収入されなかったときは、4月1日をもって翌年度に繰り越し、以後収入されるまで逐年同様の方法で処理します。

5 不納欠損処分

不納欠損とは、既に調定した歳入が徴収し得なくなったことを表示する決算上の取扱いです。

時効の完成その他の理由により徴収の権利が消滅している歳入があるときは、歳入不納欠損調書を作成して不納欠損の整理をするとともに、不納欠損処分通知書により会計管理者に通知します。【財務規則50】

6 歳入の訂正

何らかの理由で年度、会計又は科目を誤って調定し、収納してしまった場合は、速やかに訂正の処理を行います。

収納済の収入について、所属年度、会計名又は収入科目に過誤があることを発見したときは、関係帳簿を整理し、かつ、更正通知書により会計管理者に通知します。【財務規則51】

7 過誤納金の処理

歳入の過納及び誤納を過誤納金といいます。過誤納金があった場合は、これを還付しなければなりません。

歳入の過誤納となった金額を払い戻すときは、納入者に対し還付の通知をして、還付請求書の提出を求めるとともに、会計管理者に過誤納金還付伺票を送付します。【令165の7、財務規則48】

「過納金」…… 正当な納入義務者ではあるが、計算違い等により、その納入すべき金額を超えて収入したものをいいます。

「誤納金」…… 錯誤により納入義務者でない者から収入したものをいいます。

【参考5】

「過誤」とは、単純な計算ミスや勘違いのことをいい、契約内容の変更があって金額が変わるものは過誤とはいいません。

・現年度内(4/1~3/31)……… 過誤も過誤以外も歳入還付

・出納整理期間内(4/1~5/31)……… 過誤は歳入還付、過誤以外は新年度の歳出還付(23節)

(1) 現年度の歳入の還付(歳入還付)

現年度の収入に係る過誤納金を還付する場合は、これを収入した歳入科目から支出の手続の例により戻出します。戻出とは、当該収入した歳入から払い戻すことをいい、当該会計年度に係る出納閉鎖日までの間であれば、歳入から戻出することができます。

また、当該収入について、正当な調定額となるよう減額調定を行います。

(2) 前年度以前(過年度)収入の還付(歳出還付)

過年度収入に係る過誤納金を還付する場合は、当該歳入科目から戻出することはできませんので、現年度の歳出予算から支出することになります。

【参考6】

歳出予算科目は、22節の償還金、利子及び割引料となります。

(3) 過誤納金の充当

還付すべき過誤納金がある場合において、その還付を受けるべき者に別に未納の徴収金があるときは、過誤納金をその徴収金に充当しなければなりません。【地方税法17の2】

第3章 支出

第1節 支出の概念

1 支出の意義

支出とは、町の行政を行うために必要な経費を債権者に支払うことをいい、支出の原因となるべき契約その他の行為(支出負担行為)から現金の支払までの一連の行為を意味しています。

支出は、予算に基づかなければならないため、歳出予算の執行という形で行われることになります。歳出とは、一会計年度における一切の支出のことをいいます。

2 支出の根拠

支出は、予算の議決、町長への送付及び会計管理者への通知の手続きを経て、会計年度の始期の到来によって、歳出予算執行の権限が与えられることにより行われるものです。【法211、219、令151、財務規則15】

3 支出の手続

支出の手続は、執行伺(事案の決定)、契約の締結、履行の確認(検査)、支出命令という流れで執行者において行われる事務と執行者からの支出命令を受けて審査(支出負担行為の確認、債務の確認)をした後、支払を行う出納執行者の事務の両者からなっています。

4 支出の原則

支出の原則は、次のとおりです。【法232の4、232の5】

① 法令に違反していないこと。

② 予算に基づいたものであること。

③ 債務が確定していること。

④ 正当債権者への支払であること。

町の支出は、これらの原則に従って行わなければならないものですが、この原則(③、④)の例外として、資金前渡、概算払、前金払等の支出の方法があります。(これらについては、「第5節 支出の特例」で詳述します。)(P.31 参照)【法232の5②、令161~165の2】

5 公金の支出禁止及び制限

公金の支出については、憲法その他の諸法により禁止あるいは制限されているものがあります。

(1) 公金の支出が禁止されている場合

○日本国憲法〔抜粋〕

第89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

【参考7】

宗教上の組織又は団体に対する公金支出の禁止は、憲法第20条の政教分離の原則から、財政的にこれを禁止したものです。また、公の支配に属しない慈善、教育又は博愛の事業に対する公金支出の禁止は、これらの事業に対し、公の機関が不当な監視を行ったり、政治勢力に左右されることによって事業の本質に反することになったり、公金の濫費を防ぐことを目的としています。

(2) 公金支出が制限されている場合

① 普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。【法232の2】

【参考8】

公益上必要かどうかを認定するのは町長及び議会ですが、この認定はまったくの自由裁量行為ではないから、客観的にも公益上必要があると認められなければならない。(行実 昭和28.6.29)

② 地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができない。【法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第3条】

【参考9】

会社その他の法人の債務について町が保証することは、その法人に対して強力な援助を与えることになり、その法人の経営が悪化したような場合には、町が多額の保証債務を負うことになるので、原則として債務の保証を禁じています。

第2節 支出負担行為

1 支出負担行為の意義

支出負担行為とは、町の支出の原因となるべき契約その他の行為をいいます。

すなわち、町が支払い義務を負う予算執行の第一段階の行為であり、歳入の調定に相当する基本規定として、支出発生と経理手続とを明確にし、支出命令と支出負担行為とを区分するために設けられた制度です。【法232の3】

このように、支出負担行為と支出命令は、本来別々に区分されるものですが、本町においては、事務簡素化等により支出負担行為と支出命令とを一本化し、「支出負担行為兼支出調書」として兼票による事務処理を行っています。

【参考10】

支出の原因となるべき契約その他の行為とは(法232の3 関係注釈)

① 工事、製造等の請負契約、物品の購入契約のような私法上の債務を負担する行為

② 補助金の交付決定のような公法上の債務を負担する行政行為

③ 不法行為に基づく損害賠償金の支出の決定行為

④ 給与その他の給付の支出決定

⑤ 会計間における繰入、繰出の決定行為

※ 支出負担行為としての事務は行なわず直ちに支出手続きを行なうことはできない。(昭和38.12.19通知)

2 支出負担行為の整理

支出の原因となる契約その他の行為をしようとするときは、次の表の区分に従い、支出負担行為として整理しなければなりません。【財務規則53、54、別表第2、第3】

整理するに当たって、次の要件が適正かどうか確認する必要があります。【法232の4②】

① 法令又は予算に違反していないこと。

② 予算配当額を超過しないこと。

③ 予算執行計画に適合していること。

④ 支出負担行為の額、会計年度所属、科目等に誤りがないこと。

◎ 支出負担行為として整理する時期及び支出負担行為等における添付書類一覧表

財務規則 別表第2(第54条関係)

区分

支出負担行為として整理する時期

支出負担行為の範囲

支出負担行為に必要な主な書類

備考

1 報酬

支出決定のとき

支出しようとする額

支給調書

支給明細書


2 給料

支給明細書


3 職員手当等


4 共済費


5 災害補償費

請求書

補償費明細書


6 恩給及び退職年金

支給調書


7 報償費

請求書

支給調書


8 旅費

請求書


9 交際費

請求書


10 需用費

契約を締結するとき

(請求のあったとき)

契約金額

(請求のあった額)

契約書、見積書、請求書、検査に関する調書

かっこ書は単価契約による場合

11 役務費

(同)

(同)

契約書、支出調書、見積書、検査に関する調書

12 委託料

(同)

(同)

かっこ書は医療費審査支払委託料の場合

13 使用料及び賃借料

(同)

(同)

かっこ書は単価契約による場合

14 工事請負費

契約を締結するとき

契約金額

契約書、請求書、仕様書、検査に関する調書


15 原材料費

契約を締結するとき

(請求のあったとき)

契約金額

(請求のあった額)

契約書、見積書、請求書、検査に関する調書

かっこ書は単価契約による場合

16 公有財産購入費

契約を締結するとき

契約金額

契約書、見積書、請求書、検査に関する調書


17 備品購入費

契約を締結するとき

(請求のあったとき)

契約金額

(請求のあった額)

契約書、見積書、請求書、検査に関する調書

かっこ書は単価契約による場合

18 負担金、補助及び交付金

補助指令をするとき

(請求のあったとき)

指令金額

(請求のあった額)

指令書写、請求書、交付調書

かっこ書は指令を要しないものの場合

19 扶助費

支出決定のとき

支出しようとする額

請求書、支給調書


20 貸付金

貸付決定のとき

貸付けを要する額

契約書、請求書、貸付決定通知書写


21 補償、補填及び賠償金

支出決定のとき

支出しようとする額

決定書、判決書謄本、請求書


22 償還金、利子及び割引料

小切手、支払拒絶証書請求書


23 投資及び出資金

投資又は出資を要する額

申込書、払込通知書


24 積立金

積立決定のとき

積立てを要する額

支出明細書


25 寄附金

寄附決定のとき

寄附を要する額

申請書、支出明細書


26 公課費

支出決定のとき

納付を要する額

納入通知書、支出明細書


27 繰出金

繰出決定のとき

繰出しを要する額

支出明細書


財務規則 別表第3(第54条関係)

区分

支出負担行為として整理する時期

支出負担行為の範囲

支出負担行為に必要な主な書類

備考

1 資金前渡

資金前渡をするとき

資金前渡を要する額

請求書、支出明細書


2 繰替払

繰替払をしたとき

繰替払をした額

繰替使用計算書


3 過年度支出

過年度支出を行うとき

過年度支出を要する額

請求書、支出明細書


4 繰越し

当該繰越分を含む支出負担行為を行うとき

繰越しをした金額の範囲内の額

契約書


5 返納金の戻入

返納決定のとき

(現金の戻入れのあったとき)

戻入を要する額

関係調書

翌年度の5月31日以前に現金の戻入があり、その通知が6月1日以後にあった場合は、かっこ書きによる。

6 債務負担行為

債務負担行為を行うとき

債務負担行為の額

契約書その他の関係書類


第3節 会計管理者に対する合議

1 事前合議の意義

出納の検査は、地方自治法の規定により支出命令時に行う事後審査が基本ですが、審査の結果、当該支出負担行為が法令・予算等に違反していた場合は、当該債務が当面履行できなくなり、債権者に対して損害を与えることになります。このような事態が生じないよう、特に重要と思われる事案について支出負担行為を行う前の段階で審査を行うものです。また、資金の効率的運用という面からの必要性もあります。

2 事前合議の対象範囲

次の経費に係る支出負担行為をしようとするときは、会計管理者に合議しなければなりません。【財務規則55】

○亘理町財務規則〔抜粋〕(平成7年亘理町規則第6号)

(会計管理者に対する合議)

第55条 課長等は、次に掲げる経費に係る支出負担行為をしようとするときは、会計管理者に合議しなければならない。

(1) 1件単品5万円又は総額30万円を超える物品の購入、印刷、修繕に係る経費及び食糧費

(2) 1件30万円を超える報償費(物品以外のもの)、委託料、使用料及び賃借料、工事請負費、公有財産購入費

(3) 負担金補助及び交付金

(4) 扶助費

(5) 貸付金

(6) 補償補填及び賠償金

(7) 寄付金

(8) その他異例と認められる経費

第4節 支出命令

1 支出命令の意義

支出命令とは、町長が支出負担行為に基づく債務を確定、すなわち支出決定し、その支出を会計管理者に命令することをいいます。

会計管理者は、町長の命令がなければ支出することはできません。また、会計管理者は、命令を受けた場合においても、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出をすることができないという必要条件が規定されています。【法232の4】

2 支出命令の事務処理

支出の命令は、支出命令書(支出負担行為兼支出調書)によりこれを行い、関係書類を添付して当該支払日の5営業日前までに会計管理者に送付します。

(1) 支出命令内容の確認

支出をしようとするときは、所属年度、支出金額、債権者及び法令又は契約に違反していないことを確認しなければなりません。【財務規則58】

支出命令書は、支出科目及び債権者ごとに作成しなければなりません。ただし、支出科目を同じくする2人以上の債権者に同時に支出する場合は、支出内訳書を添付し、集合して支出命令書を作成することができます。【財務規則59】

(2) 支出命令書に添付すべき関係書類

支出命令書には、次の書類を添付しなければなりません。【財務規則59③】

なお、感熱紙によるものは月日の経過により印刷面が薄くなってしまうことが考えられることから保存上、原本及び原本の写しを添付してください。

① 請求書(次に記述の請求書による原則の例外のものについては、支出明細書等)

② 支出負担行為に関する書類その他支出の原因及び計算の基礎を明らかにした書類の写

ア 1件単品5万円又は総額30万円(消費税を含む。)を超える物品の購入、印刷、修繕等については、物品購入伺票又は合議文書等の写しを添付してください。

なお、修繕料については、総額30万円未満であっても単品5万円を超える物品が含まれている場合は、物品購入伺票を必要とします。契約書を作成している場合(契約金額50万円を超えるもの)は、各種復命書の写しを添付してください。(30万円以上50万円未満で請書を作成している場合も同様です。)

イ 食糧費は、1人当たりの単価が1,000円(消費税含む。)を超えるもの及び酒類を伴うものについて、あらかじめ財政課長及び副町長の食糧費執行伺いの決裁を受けたものを添付してください。

③ 債務の履行の確認を証する書類の写

(3) 請求書による原則

① 請求書による原則の例外

支出命令は、債権者からの請求書により行わなければなりません。ただし、財務規則で定める経費については、請求書によらなくても支出することができます。

○亘理町財務規則〔抜粋〕(平成7年亘理町規則第6号)

(支出の方法)

第57条 支出は、債権者の請求書によらなければすることができない。ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。

(1) 官公署に対して支払うもの

(2) 報酬、給料その他の給与

(3) 町債の元利金

(4) 補助金、負担金、交付金、貸付金等で支払金額の確定したもの

(5) 土地、建物等の賃借料

(6) その他その性質上請求書を徴し難いもの

2 課長等は、前項の請求書を受理したときは、直接払、隔地払、口座振替払その他支払に必要な区分を確認しなければならない。

【参考11】

・財務規則第57条第1項第1号の「官公署に対して支払うもの」の経費を除いては、それぞれ経費の計算の基礎を明らかにした書類又は支出調書を添付しなければなりません。

・財務規則第57条第1項第6号の「その他その性質上請求書を徴し難いもの」とは、次のようなものです。

1 「23投資及び出資金」「24積立金」「25寄付金」「27繰出金」

2 「11役務費」で、自動車損害保険料のうち自動車損害賠償保障法に基づくもの

3 「22償還金、利子及び割引料」

4 資金前渡職員に対して前渡される経費

5 他団体が主催する会議等に出席する場合の負担金で、主催者等からの会議等開催通知により、事前に指定口座へ振り込む必要があるもの

② 請求書の要件

請求書とは、債権者が町に対して有している債権額の支払を請求する書面で、債権債務の関係を確定する一つの手段です。したがって、請求書は、正当債権者が発行したもので、その意思が適正に表示され、客観的にも正当なものとして確認できる必要があります。

適法な請求書とは、法令、契約又は慣習により添付すべき書類が添付され、請求金額、請求年月日、請求者の住所・氏名・押印(シャチハタ不可)、請求先、請求内訳が記載されたものをいいます。

これらの事項については、必ず主管課等において確認してください。記載もれ等のある請求書については、加筆訂正ができませんので、主管課等に返戻することになります。

【参考12】

適法な請求書の具体的な要件

① 請求金額は正しいか。…… 数量、単価、消費税計算等。頭書の金額を訂正したものは不可。その他の記載事項を訂正する場合は、二本線で抹消・訂正し、請求書に用いた訂正印が必要【財務規則185】

② 請求年月日の記載はあるか。…… 請求月日の漏れが多いので、注意。請求月日は、担当者が記入しないこと。町補助金の請求月日は交付決定日の後

③ 正当な債権者か。…… 債権者は、原則として自然人又は法人。契約の相手方が法人である場合は、その代表者又は代表権を持つ役員若しくは代表者から請求を委任された者であるか。

④ 請求者の表示は正しく表示されているか。

・住所(法人にあっては、事務所の所在地)…… 住所の漏れが多いので、注意

・氏名(法人にあっては、法人名及び代表者の役職・氏名)

・押印…… 相手方が株式会社の場合は、会社名印及び代表取締役印。シャチハタは不可

⑤ 請求書のあて名は正しいか。…… 「亘理町長」になっているか。

⑥ 請求内訳はあるか。…… 請求の内容、計算の基礎を明らかにした明細の記載があるか。「一式」は不可

※ 通常、株式会社の作成する書類に、会社名、印、代表取締役名、印を記載するのは、当該書類によって行われる行為が、当該株式会社を代表して当該代表取締役が行うものであることを明示し、その責任の所在を明らかにするためのものです。

この代表取締役の氏名を明記させ、印を押させるのは、その者の行為が当該株式会社の行った行為であるかどうかということで紛争が起こることを避けるためであるとされます。

(資料:地方財務実務提要の抜粋)

(4) 支払の時期

① 町の債務の支払の時期については、「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」が準用されます。【支払遅延防止法14、次の表】

区分

支払時期

根拠

工事代金

その他の給付に対する対価

契約書等により支払の時期を約定したとき

約定した期間内

約定した期間内

支払遅延防止法4、6①

給付の完了の検査後

適法な請求書を受理した日から40日以内

給付の完了の検査後

適法な請求書を受理した日から30日以内

契約書等を省略し支払の時期を約定しないとき

相手方が支払請求をした日(請求書受理日)から15日以内

支払遅延防止法10

② 実際の支払日は、支払方法にかかわらず、月6回(5日、10日、15日、20日、25日、30日)とします。なお、これらの日が土日祝日の場合は、その前日としますので、遅延のないよう適正、迅速に行ってください。

③ 支出負担行為兼支出調書は、請求書が届いたら速やかに起票し、支払予定日の5営業日前まで会計課に届くようにしてください。遅れた場合は、支障がない限り、次回の支払予定日に支払います。

④ 支出負担行為兼支出調書の「支払予定日」は、入力する日に合わせて自動設定してあります。なお、自動設定された支払予定日では支払期限(電気料金の早収期限日、電話料金のお支払期限等)に間に合わないという場合には、支払期限の直前の支払予定日に修正し、持ち回りで決裁を受け、会計課へ確実に届けてください。

なお、自動設定された支払日を手入力により変更した場合は、支出負担行為兼支出調書の「支払予定日」の箇所に入力担当者の認印を押印してください。

(例)支払期限が3月12日で、自動設定された支払予定日が3月15日となった場合

⇒ 支払日を3月10日に修正する。

⑤ セブンメイトでの送信は、支払予定日の3営業日前まで完了してください。

送信の際には、十分に気を付け、二重送信等が無いよう注意してください。

操作時間は、午前9時から午後3時までです。【操作マニュアルは会計課に備付】

(5) 支出命令書の入力

《支出調書 関係》

① 支出負担行為兼支出調書の記載事項を訂正する場合は、修正テープ等ではなく、二本線で抹消・訂正し、担当者の訂正印(シャチハタ不可)を押印してください。なお、頭書の金額は訂正できません。【財務規則185】

② 支出負担行為兼支出調書の摘要欄は、内容がわかるように入力してください。

・単に、商品名等を入力するのではなく、支出の理由、目的等を入力してください。

・工事請負費で、前払金又は後払金を支出する場合は、その旨を末尾に入力してください。(例:…………工事前払金、…………工事後払金)

③ 支出負担行為兼支出調書の添付書類は、財務規則別表第2・第3で確認してください。

④ 定期的に支払うもので、毎回、仕訳書により複数の支出科目から支払っているものは、請求書を分けて発行するように債権者(業者等)に依頼してください。

⑤ 支出負担行為兼支出調書を入力したあとで、取消し、訂正、削除等をする場合は、

事前に会計課に連絡してください。

⑥ 支払方法や金額を訂正すると、支払日が遅くなる場合がありますので、必ず再確認してください。

⑦ 特別会計においては、支出負担行為兼支出調書の上部余白に特別会計区分の丸型ゴム印を必ず押印してください。

《支払方法 関係》

⑧ 支払方法は、次の6区分です。

<1> FD口座振替、<2> 現金払、<3> 手書振替、<4> メイト振替、<5> 公金振替

<6> 公共料金口座振替

《FD口座振替 関係》

⑨ FD口座振替の場合は、明細入力時に請求書番号を必ず入力してください。

債権者を検索する場合は、くれぐれも間違わないように十分注意してください。

検索方法は、別冊入力手順1を参照してください。

⑩ FD口座振替で、複数債権者の請求書を一括処理する場合は、内訳書に債権者ごとの金額を入力してください。【別冊入力手順1参照】

また、講師謝金等で源泉徴収する場合は、源泉徴収税額も入力してください。【別冊入力手順2参照】

⑪ FD口座振替で、同一債権者の複数の請求書を一括処理する場合は、内訳書に請求書ごとの金額を入力してください。【別冊入力手順3参照】

《現金払 関係》

⑫ 現金払で納付書を添付する場合(電気料、電話料等)は、納付書の受領書(納入者保管分)の余白に支出科目と決議番号を鉛筆で記入してください。【別冊記載例2参照】

⑬ 前記以外の現金払は、極力しないようにし、FD口座振替又はメイト振替にしてください。

現金払した場合の受領書には、支出科目と決議番号を明記し、支払後、速やかに会計課へ提出してください。

受領書の宛名は「亘理町会計管理者」とします。なお、資金前渡金の場合の宛名は「資金前渡職員」となります。

《手書振替 関係》

⑭ 手書振替は、記入誤りによる支払遅延の事例がありますので、原則として使わないようにし、FD口座振替又はメイト振替にしてください。債権者登録については、後述します。

《支払区分 関係》

⑮ 支払区分は、次の4区分です。このうち「前金払」は、債務の履行期の到来前に一部又は全部を支払する支出の例外であるため、通常払いとは区別し、新たに設定したものです。内容は「第5節 支出の特例」で詳述します。

<1> 通常払、<2> 資金前渡、<3> 概算払、<4> 前金払

《高額収支予定表 関係》

⑯ 高額収支予定表(1,000万円以上)は、資金繰りのため必要としますので、前月末まで又は確定次第、会計課へ提出してください(特に収入の予定)。なるべく、年間予定表にして提出してください。この場合、金額が確定していないときは見込額で結構です。年間予定表を提出した場合は、毎月の提出は不要です。

様式は、データ送受フォルダの1様式集フォルダから取り込んでください。

(6) 委員等の報酬・費用弁償

《報酬 関係》

① 議会の議員、委員会の委員等に対しては、報酬を支給しなければならないとされています。【法203①、203の2①】

② 各行政委員会委員(教委、選管、監査、農委、固定資産評価審査委)、その他の非常勤特別職(区長、消防団員等)の報酬については、各委員等の了解を得てメイト振替にしてください。

なお、控除するものがある場合は、控除した金額を指定の口座に振り込みます。【別冊入力手順4参照】

③ 各種審議会委員等の報酬についても、事前に各委員の了解を得て、資金前渡ではなく出席確認後にメイト振替により通常払するように推進してください。このことにより、事務手続が軽減できます。【別冊入力手順4参照】

④ 講師謝金についても、定例的に講師をお願いしている方については、事前に了解を得て、資金前渡ではなくFD口座振替又はメイト振替により通常払するように推進してください。【別冊入力手順4参照】

⑤ 委員報酬、講師謝金等は、すべて源泉するようにしてください。

ただし、各種審議会委員報酬の場合は、旅費その他の費用の弁償がなく、かつ、年間の支給合計額が1万円以下のものについては課税しなくて差し支えありません。目安として、会議の年間開催予定回数が1回で、かつ、予算措置も1回分であれば、課税の必要はありません。【所得税基本通達28―7】

また、消防団員報酬の場合は、年間の支給合計額が5万円以下であるものに限り課税しなくて差し支えありません。【所得税基本通達28―9】

なお、源泉徴収票は、翌年1月末に各委員等へ郵送します。

〔参考13〕

○ 所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について

1 報酬の源泉徴収【所得税法第183条、復興財源確保法第28条】

(1) 報酬額が、年額又は月額で規定されている場合は、源泉徴収税額表の「月額表」を適用します。

例)

年額:教育委員、農業委員、区長、環境美化推進員、農政推進員、校医、消防団員

月額:議員、監査委員、会計年度任用職員

(2) 報酬額が、日額で規定されている場合は、次のようになります。

① 委嘱期間が2か月を超える場合は、源泉徴収税額表の「日額表・乙欄」を適用します。

例)各種審議会委員、交通安全指導員、選挙管理委員、スポーツ推進委員等

② 委嘱期間が2か月以下の場合は、源泉徴収税額表の「日額表・丙欄」を適用します。

例)選挙立会人、投票立会人等





給与等の区分

税額表

扶養控除等申告書

適用欄

備考

(税額:平成25年1月1日から。端数切捨て)


・月ごとに支払うもの

・半月、旬ごとに支払うもの

・月の整数倍ごとに支払うもの

月額表

甲欄

88,000円未満は0円

88,000円以上は税額表確認

乙欄

88,000円未満は3.063%

88,000円以上は税額表確認

・毎日支払うもの

・週ごとに支払うもの

・日割で支払うもの

日額表

甲欄

2,900円未満は0円

2,900円以上は税額表確認

乙欄

2,900円未満は3.063%

2,900円以上は税額表確認

・日雇賃金(一時的な作業賃金)

不要

丙欄

9,300円未満は0円

9,300円以上は税額表確認

2 報償費の源泉徴収【所得税法第204条、復興財源確保法第28条】

(1) 講師謝礼等は、1回の支払金額の10.21%の税率で源泉徴収してください。(税額:平成25年1月1日から。端数切捨て)

(2) 所得税法第204条に該当しない場合は、源泉徴収する必要はありません。(例:スポーツ大会の審判員、司会等)

(3) 法人の所得となる場合は、源泉徴収する必要はありません。

○ 所得税基本通達〔抜粋〕

(委員手当等)

28―7 国又は地方公共団体の各種委員会(審議会、調査会、協議会等の名称のものを含む。)の委員に対する謝金、手当等の報酬は、原則として、給与等とする。ただし、当該委員会を設置した機関から他に支払われる給与等がなく、かつ、その委員会の委員として旅費その他の費用の弁償を受けない者に対して支給される当該謝金、手当等の報酬で、その年中の支給額が1万円以下であるものについては、課税しなくて差し支えない。この場合において、その支給額が1万円以下であるかどうかは、その所属する各種委員会ごとに判定するものとする。

(地方自治法の規定による費用の弁償)

28―8 地方自治法第203条第2項《議員報酬、費用弁償及び期末手当》及び同法第203条の2第3項《報酬及び費用弁償》の規定により受ける費用の弁償は、法第9条第1項第4号に掲げる金品に該当するものその他その職務を行うために要した費用の弁償であることが明らかなものを除き、給与等とする。

(非常勤の消防団員が支給を受ける各種の手当等)

28―9 消防組織法第18条《消防団》の規定に基づき市町村に設置された消防団に勤務する非常勤の消防団員が当該市町村から支給を受ける各種の手当等については、次による。

(1) 当該非常勤の消防団員が、消防、水防等のために出動した場合に支給を受ける出動手当、警戒手当、訓練手当等で、その者の出動の回数に応じて支給されるもの(以下この項において「出動手当等」という。)については、28―8の「その職務を行うために要した費用の弁償」に該当するものとして差し支えない。

(2) 当該非常勤の消防団員が、その者の出動の回数に関係なくあらかじめ定められている年額、月額等によって支給を受ける報酬については、その年中の支給額が5万円以下であるものに限り、課税しなくて差し支えない。

・「給与等支払調書」又は「報酬等支払調書」は、交付義務のあるものではありませんが、受給者に内容がわかるようにするため、これまで同様交付することとし、1部作成(A4版の半分)して、本人に送付又は会議の際などに手渡してください。この場合、公印は省略し、その旨を欄外に記載してください。【別冊記載例3参照】

・支出負担行為兼支出調書には、「給与等支払調書」又は「報酬等支払調書」の控を添付するのではなく、支給調書に源泉徴収税額の欄を設けたものを2部添付(うち1部は糊付けしない。)してください。【別冊記載例4参照】

《費用弁償 関係》

⑥ 議会の議員、委員会の委員等は、費用弁償を受けることができるとされています。(旅費ではなく、費用弁償です。)【法203②、203の2③】

○地方自治法〔抜粋〕

(議員報酬、費用弁償及び期末手当)

第203条 普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、議員報酬を支給しなければならない。

2 普通地方公共団体の議会の議員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。

3 普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。

4 議員報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

(報酬及び費用弁償)

第203条の2 普通地方公共団体は、その委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

2 前項の職員に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし、条例で特別の定めをした場合は、この限りでない。

3 第1項の職員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。

4 報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

(給料、旅費及び諸手当)

第204条 普通地方公共団体は、普通地方公共団体の長及びその補助機関たる常勤の職員、委員会の常勤の委員(教育委員会にあっては、教育長)、常勤の監査委員、議会の事務局長又は書記長、書記その他の常勤の職員、委員会の事務局長若しくは書記長、委員の事務局長又は委員会若しくは委員の事務を補助する書記その他の常勤の職員その他普通地方公共団体の常勤の職員並びに短時間勤務職員に対し、給料及び旅費を支給しなければならない。

2 普通地方公共団体は、条例で、前項の職員に対し、扶養手当、地域手当、住居手当、初任給調整手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)、へき地手当(これに準ずる手当を含む。)、時間外勤務手当、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、夜間勤務手当、休日勤務手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、寒冷地手当、特定任期付職員業績手当、任期付研究員業績手当、義務教育等教員特別手当、定時制通信教育手当、産業教育手当、農林漁業普及指導手当、災害派遣手当(武力攻撃災害等派遣手当及び新型インフルエンザ等緊急事態派遣手当を含む。)又は退職手当を支給することができる。

3 給料、手当及び旅費の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

⑦ 議会の議員、各行政委員会委員(教委、選管、監査、農委、固定資産評価審査委)、その他の非常勤特別職(区長、消防団員等)の費用弁償(日額の費用弁償を含む。)についても、各議員、各委員等の了解を得てメイト振替にしてください。【別冊入力手順5参照】

⑧ 各種審議会委員等の費用弁償についても、同様にメイト振替を推進してください。

⑨ 費用弁償の支出負担行為兼支出調書に添付する書類は、当分の間、一般職の職員の「旅費請求兼受領書」を準用して使用してください。

FD口座振替又はメイト振替する場合は、「旅費請求兼受領書」の請求欄に記名・押印(シャチハタ不可)してください。受領欄は振込のため記入不要とします。

⑩ 旅行者が複数かつ旅行命令の内容が全く同一であるときは、各人の「旅費請求兼受領書」に代えて、旅行者全員を一覧にした請求書と1人分の費用弁償計算書を添付してください。【別冊記載例5参照】

⑪ 費用弁償の資金前渡と概算払については、後述します。【参考15】参照

(7) 職員の旅費

① 一般職の職員に対しては、旅費を支給しなければならないとされています。【法204①】

② 通常払の職員旅費は、FD口座振替とし、各職員を債権者にして入力してください。この場合、添付する「旅費請求兼受領書」の受領欄は、振込のため記入不要とします。様式は、そのまま使用してください。押印はシャチハタ不可【別冊入力手順5参照】

③ 通常払の職員旅費は、月末締めの翌月15日支払いとし、数か月分をまとめて処理することのないようにしてください。

④ 職員旅費の概算払については、後述します。

3 立替払

立替払は、自治法上認められていません。そこで、必要な場合は、資金前渡を受けて対応することを基本としてください。

ただし、止むを得ない理由により立替払をしたときは、次のように処理してください。この場合であっても、安易な立替払はしないように、十分注意してください。

なお、支払予定日は、月6回の支払予定日のいずれに設定しても構いません。

① 課長等の「立替払理由書」を添付する。

② この「立替払理由書」をもって、債権者を立替払した職員にする。

③ 支払方法、支払区分を「FD口座振替、通常」とし、立替払した職員の口座に振り込む。

〔記載例〕

立替払理由書

このたび、下記のとおり立替払をしました。

理由は、○月○日に○○○○○をするため、急遽○○○○○○が必要となりましたが、資金前渡の支出手続をする暇がなく、かつ、○○○○○○のため請求書による購入もできなかったことによるものです。

元号○年○月○日

○○課長 □□□□ ((印))

1 立替払月日 元号○年○月○日(○)

2 立替払金額 10,000円

3 購入物品 ○○○○ほか

4 立替払職員 ○○課○○班長 △△△△

4 債権者登録

債権者登録とは、会計事務処理の迅速化を図るため、支払先の相手方について、住所、氏名、振替口座番号等をあらかじめ財務会計システムに登録することをいいます。

債権者登録は、各課においても処理可能ですが、入力ミスを防ぐため会計課で行いますので、「債権者登録申込書」【別冊様式1参照】を提出してください。様式は、データ送受フォルダの1様式集フォルダから取り込んでください。

なお、登録していた債権者の事務所の所在地、振替口座番号等が変更になったとき、又は債権者が存在しなくなったときも、変更・削除として「債権者登録申込書」を会計課へ提出してください。

5 その他

各種団体等に対する町補助金の交付について

「予算執行等に関する手引き」財政課作成、平成24年3月廃止〔抜粋〕

町補助金の交付状況において、各種団体等の実績報告書によると、収支決算で町補助金の交付額以上の翌年度繰越金処理を行っている団体が未だ見受けられる。町補助交付金の目的は、当該年度における補助事業等の目的達成に対する必要最小限の助成金であり、補助交付団体に対しては、補助金の有効活用について適切な指導を行うこと。

(1) 補助金の交付決定にあたっては、当該補助事業等の完了における実績報告書(収支決算書)等に基づき交付決定すること。(支出調書には、交付決定伺文書の写し、実績報告書の表紙及び収支決算書の写し、請求書等を添付すること。)

(2) 事業実施にあたり、事業完了前の交付については概算払による交付とし、事業完了後実績報告書等に基づき精算すること。(概算払時の支出調書には、交付決定伺文書の写し及び請求書等を添付する。精算時の精算調書には実績報告書の表紙及び収支決算書の写しを添付する。なお、精算調書の決裁については、精算月日で年度区分することとする。)

※ 実績報告書は、補助事業等の完了若しくは廃止の承認の日から1月を経過した日又は交付の決定のあった日の属する会計年度の翌年度の4月10日のいずれか早い日までに提出しなければならない。ただし、町長が特に必要と認めるときは、提出期限を繰り上げ又は繰り下げすることができる。【補助金等交付規則12②】

第5節 支出の特例

【参考14】

自治法では、支出の特例として、資金前渡、概算払、前金払等の方法が認められています【法232の5】。これらの意義(要点)は、次のとおりです。以下、詳述します。





区分

債権者

債権金額

履行期

備考


資金前渡

未確定

確定

未到来


未確定

未確定

概算払

確定

未確定

未到来


前金払

確定

確定

未到来

一部又は全部を支払


1 資金前渡

(1) 資金前渡の意義

資金前渡とは、債権金額は確定しているが債権者が未確定又は債権金額及び債権者が未確定の場合であって、かつ、履行期も到来していない場合において、町が指定した職員に対してあらかじめ資金を交付し支出させる方法です。

指定された職員が、正当債権者に対して現金を支払い、領収書を徴して支出が完結したものとして取扱います。

資金前渡は、支出の原則と支払の原則の例外をなすものであって、資金前渡を受けた者は、支出負担行為から支払の権限まであわせ有することになります。

(2) 資金前渡できる経費

資金前渡できる経費は、次のとおりです。

○地方自治法施行令〔抜粋〕

(資金前渡)

第161条 次に掲げる経費については、当該普通地方公共団体の職員をして現金支払をさせるため、その資金を当該職員に前渡することができる。

(1) 外国において支払をする経費

(2) 遠隔の地又は交通不便の地域において支払をする経費

(3) 船舶に属する経費

(4) 給与その他の給付

(5) 地方債の元利償還金

(6) 諸払戻金及びこれに係る還付加算金

(7) 報償金その他これに類する経費

(8) 社会保険料

(9) 官公署に対して支払う経費

(10) 生活扶助費、生業扶助費その他これらに類する経費

(11) 事業現場その他これに類する場所において支払を必要とする事務経費

(12) 非常災害のため即時支払を必要とする経費

(13) 電気、ガス又は水の供給を受ける契約に基づき支払をする経費

(14) 電気通信役務の提供を受ける契約に基づき支払をする経費

(15) 前2号に掲げる経費のほか、2月以上の期間にわたり、物品を買い入れ若しくは借り入れ、役務の提供を受け、又は不動産を借り入れる契約で、単価又は1月当たりの対価の額が定められているもののうち普通地方公共団体の規則で定めるものに基づき支払をする経費

(16) 犯罪の捜査若しくは犯則の調査又は被収容者若しくは被疑者の護送に要する経費

(17) 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上現金支払をさせなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

2 歳入の誤納又は過納となった金額を払い戻すため必要があるときは、前項の例により、その資金(当該払戻金に係る還付加算金を含む。)を前渡することができる。

3 前2項の規定による資金の前渡は、特に必要があるときは、他の普通地方公共団体の職員に対してもこれをすることができる。

○亘理町財務規則〔抜粋〕(平成7年亘理町規則第6号)

(資金前渡)

第61条 資金前渡できる経費は、令第161条第1項第1号から第16号までに掲げる経費及び同条第2項に定めるもののほか、次に掲げる経費とする。

(1) 講習会、儀式等の開催地において即時支払を必要とする経費

(2) 即時支払をしなければ契約しがたい物品の購入、運搬、借上げ等に要する経費

(3) 交際費、賠償金、補償金、交付金

(4) その他町長が特に必要と認めた経費

2 前渡金は、用件ごとにその都度交付するものとする。ただし、常時必要とする経費については、毎月その所要額を交付することができる。

(資金前渡職員)

第62条 課長等は、資金前渡しようとするときは、職員(他の地方公共団体の職員を含む。)の中から資金前渡職員を指定し、会計管理者に通知しなければならない。

(資金前渡金の保管及び支払)

第63条 資金前渡職員は、速やかに支払を要する場合を除き、その資金を確実な金融機関に預け入れておかなければならない。

2 前項の預け入れにより生じた利子は、歳入に受入れの手続をとらなければならない。

3 資金前渡職員は、支払いをするときは、領収証書を徴さなければならない。ただし、領収証書を徴しがたい支払については、この限りでない。

(資金前渡金の精算)

第64条 資金前渡職員は、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める期日までに精算調書を作成し、領収証書その他証拠書類を添付して、課長等を経て会計管理者の検認を受けなければならない。

(1) 第61条第2項本文の規定により前渡される資金に係る経費 支払終了後7日

(2) 第61条第2項ただし書の規定により前渡される資金に係る各月分の経費 翌月7日(最終の支払に係る経費については、支払終了後7日)

2 精算により残金が生じたときは、直ちに戻入れの手続をとらなければならない。

【参考15】

令第161条第1項第4号の「給与その他の給付」とは、法第2編中の第8章給与その他の給付をさす。(昭38.12.19通知)

議会の議員その他非常勤の委員等に対して支払う費用弁償(一般職の職員の旅費に相当するもの。法203、203の2)は、令第161条第1項第4号の「給与その他の給付」です。

したがって、議員又は委員等の旅行者が複数で、かつ、引率する職員がいる場合は、切符等の事前購入が必要となることがあるので、資金前渡の手続きをしてください。(資金前渡であれば、支給調書の添付になり、各人の請求印は不要です。)

なお、議員又は委員等が単独で旅行する場合は、資金前渡ではなく、後述する概算払によることが適当です。

(3) 資金前渡職員の指定

資金前渡を行う場合は、職員の中から資金前渡職員を指定し、会計管理者に通知します。他の地方公共団体の職員を指定することもできます。【財務規則62】

年度当初に、財政課において各課から出された資金前渡職員の指定を取りまとめ、会計管理者に通知していますが、年度途中の資金前渡職員の変更については、その都度財政課に変更届(用紙は財政課)を提出してください。

【参考16】

資金前渡職員は、受けた資金を保管し、支出の執行を自己の責任において行うことから、支出命令に基づいて会計管理者が審査し支払う原則の例外となります。

(4) 事務処理

事務処理は、次のように行います。【財務規則63、64】

① 支出負担行為兼支出調書の入力

・支払方法、支払区分は、「現金払、資金前渡」とします。

・支払予定日は自動設定されていますが、その日以前を希望する場合は、会計課に相談してください。なお、自動設定された支払日を手入力により変更した場合は、支出負担行為兼支出調書の「支払予定日」の箇所に入力担当者の認印を押印してください。

・支出負担行為兼支出調書下段の受領欄の受領年月日は支払予定日とし、受取人は「

住所 資金前渡職員           

氏名 ○○課○○班長 △△△△ ((印)) 

」と自署、押印(シャチハタ不可)してください。

・資金前渡金の内訳又は内容がわかる書類を添付してください。

ア 費用弁償の資金前渡で、旅行者が複数かつ旅行命令の内容が全く同一であるときは、旅行者全員を一覧にした支給調書と1人分の費用弁償計算書を添付してください。【別冊記載例6参照】

イ 講習会等の開催地において即時支払を必要とする経費の資金前渡の場合は、講習会等の開催通知又は開催要綱を添付してください。【別冊記載例7参照】

ウ 即時支払いをしなければ購入しがたい物品の購入経費、高速道路料金、駐車料金等の資金前渡で、支出負担行為兼支出調書の摘要欄にその内容を記載した場合は、添付書類は不要です。【別冊記載例8参照】

② 資金前渡金の受領

・資金前渡職員には、大きな権限と責任があることを認識しなければなりません。

そこで、資金前渡金は、会計管理者から資金前渡職員本人が直接受領することを原則とします。

③ 領収書の徴収

・債務を確認・負担し、正当債権者から領収書を徴します。

〔記載例〕

資金前渡金の領収書の宛名は、次のように記載します。

「亘理町資金前渡職員

○○課○○班長 △△△△ 殿」

※ このように、資金前渡金の領収書の宛名は、資金前渡職員となります。

会計管理者ではありませんので、注意してください。

・領収書を徴し難い支払については、課長等の支払証明書を添付してください。この場合、資金前渡職員と課長等の職氏名は、自署してください。

〔記載例〕

支払証明書

金10,000円

上記の金額について、○○○の協力に対する謝礼金として、○月○日亘理太郎殿へ支払いました。

なお、領収書については、○○○○のため、徴することができませんでした。

元号○年○月○日

資金前渡職員 ○○課○○班長 △△△△ ((印))

上記のとおり支払ったことを証明します。

元号○年○月○日

○○課長 □□□□ ((印))

④ 資金前渡精算調書の入力

・資金前渡職員は、期日までに精算調書を作成し、会計管理者の検認を受けなければなりません。

・精算の期限は、次のとおりです。

その都度交付するものは、支払終了後7日以内

常時必要とされ毎月交付するものは、翌月7日以内(最終の支払については同上)

・精算調書は、資金前渡の支出負担行為兼支出調書の決議番号を入力し、呼び出してください。

・精算調書下段の精算欄には、資金前渡職員が職氏名を自署、押印(シャチハタ不可)してください。

・添付書類は、領収書その他の証拠書類です。

費用弁償の資金前渡で、旅行者が複数かつ旅行命令の内容が全く同一であるときは、旅行者全員を一覧にした受領書と1人分の費用弁償計算書を添付してください。【別冊記載例9参照】

⑤ 残金の戻入れ

・精算調書を入力し残額がある場合は、自動的に戻入金調書が出力されますので、直ちに(即日又は翌日)戻入れの手続をしてください。

戻入金調書には、その戻入金に係る「納入通知書兼領収証書」の写し(A4版のもの)を添付してください。なお、原本は領収書を兼ねるものですので、資金前渡職員が大切に保管・管理してください。

2 概算払

(1) 概算払の意義

概算払とは、債権者は確定しているが債務金額が未確定の場合において、あらかじめ一定の金額をその債権者に交付し、後日債権額が確定したときに精算する支出の方法です。

(2) 概算払できる経費

概算払できる経費は、次のとおりです。

○地方自治法施行令〔抜粋〕

(概算払)

第162条 次の各号に掲げる経費については、概算払をすることができる。

(1) 旅費

(2) 官公署に対して支払う経費

(3) 補助金、負担金及び交付金

(4) 社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に対し支払う診療報酬

(5) 訴訟に要する経費

(6) 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上概算をもつて支払をしなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

○亘理町財務規則〔抜粋〕(平成7年亘理町規則第6号)

(概算払のできる経費)

第65条 概算払のできる経費は、令第162条第1号から第5号までに掲げる経費のほか、次に掲げる経費とする。

(1) 老人福祉法等による措置費

(2) 補償金、賠償金

(3) 概算で支払をしなければ契約しがたい請負、買入等に要する経費

(4) その他町長が特に必要と認めた経費

(概算払の精算)

第66条 課長等は、概算払に係る経費の額が確定したときは、7日以内に当該概算払を受けた者から証拠書類を徴して精算調書を作成し、会計管理者の検認を受けなければならない。

2 精算により残金又は不足金が生じたときは、戻入れ又は支出の手続をとらなければならない。

【参考17】

1 一般職の職員の旅費をあらかじめ支払う場合は、令第162条第1号の規定により、概算払の手続をしてください。

なお、旅費は令第161条第1項第4号に規定する「給与その他の給付」になりますので、資金前渡もできます。(資料:地方財務実務提要の抜粋)

2 亘理町補助金等交付規則に基づき交付決定した補助金等については、補助金等の額を確定した後に交付するものですが、補助事業等の遂行上必要があると認めるときは、補助金等を概算払又は前金払により交付することができます。【補助金等交付規則15】

3 請負等で概算払するときは、契約書の契約条項に「概算払」についての特約が明記されていなければなりません。

(3) 事務処理

事務処理は、次のように行います。

① 支出負担行為兼支出調書の入力

・支払区分は、「概算払」とします。

・支払予定日は自動設定されていますが、その日以前を希望する場合は、会計課に相談してください。なお、自動設定された支払日を手入力により変更した場合は、支出負担行為兼支出調書の「支払予定日」の箇所に入力担当者の認印を押印してください。

・概算払の内訳又は内容がわかる書類を添付してください。

・職員旅費の概算払は、支払方法を「FD口座振替」又は「現金払」としてください。「現金払」の場合は、添付する旅費請求兼受領書の受領欄にも記名・押印(シャチハタ不可)してください。(FD口座振替の場合は、請求欄の記載のみで結構です。)

支払予定日は、月6回の支払予定日のいずれに設定しても構いません。

② 概算払精算調書の入力

・精算の期限は、概算払の額が確定した後、7日以内です。【財務規則66】

・町補助金の場合、実績報告書は事業完了の日から1月を経過した日又は翌年度の4月10日のいずれか早い日までに提出させ【補助金等交付規則12②】、額の確定後7日以内に精算調書を起票してください。年度末に処理することが多いと思われますが、忘れず確実に事務処理してください。

・精算調書は、概算払の支出負担行為兼支出調書の決議番号を入力し、呼び出してください。

・精算調書下段の精算欄には、課長等(資金前渡職員ではありません。)が職氏名を自署、押印(シャチハタ不可)してください。【財務規則66】

・添付書類は、領収書その他の証拠書類です。

・職員旅費の概算払において、精算により残金又は不足金が発生した場合、精算調書に添付する旅費請求兼受領書の計算欄は、概算の経費額の下欄に実際の経費額を記入し、差額内容がわかるようにしてください。【別冊記載例10参照】

③ 残金の戻入れ

・精算調書を入力し残額がある場合は、自動的に戻入金調書が出力されますので、直ちに戻入れの手続をしてください。

・戻入金調書には、その戻入金に係る「納入通知書兼領収証書」の写し(A4版のもの)を添付してください。なお、原本は領収書を兼ねるものですので、各納入者が大切に保管・管理してください。

④ 追加支払い

・精算調書を入力し不足額がある場合は、自動的に支出負担行為兼支出調書が出力されますので、新たな支出として追加支払の手続をとります。

・職員旅費の追加支払の場合、支出負担行為兼支出調書に添付する旅費請求兼受領書は、精算調書に添付したものと同様に記入してください。

また、支払方法、支払区分は、当初の概算払で設定した区分が表示されますので、当初に現金払を設定した場合は「FD口座振替、通常払」に修正してください。

3 前金払

(1) 前金払の意義

前金払とは、債権者及び債務金額がともに確定しているが、債務の履行期の到来前に一部又は全部を支払する方法です。

(2) 前金払できる経費

前金払できる経費は、次のとおりです。

○地方自治法施行令〔抜粋〕

(前金払)

第163条 次の各号に掲げる経費については、前金払をすることができる。

(1) 官公署に対して支払う経費

(2) 補助金、負担金、交付金及び委託費

(3) 前金で支払をしなければ契約しがたい請負、買入れ又は借入れに要する経費

(4) 土地又は家屋の買収又は収用によりその移転を必要とすることとなった家屋又は物件の移転料

(5) 定期刊行物の代価、定額制供給に係る電灯電力料及び日本放送協会に対し支払う受信料

(6) 外国で研究又は調査に従事する者に支払う経費

(7) 運賃

(8) 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上前金をもつて支払をしなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

――――――――――

則 抄

第7条 地方公共団体は、当分の間、公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和27年法律第184号)第5条の規定に基づき登録を受けた保証事業会社の保証に係る公共工事に要する経費については、当該経費の3割(当該経費のうち総務省令で定めるものにつき当該割合によることが適当でないと認められる特別の事情があるときは、総務省令で定めるところにより、当該割合に3割以内の割合を加え、又は当該割合から1割以内の割合を減じて得た割合)を超えない範囲内に限り、前金払をすることができる。

2 東日本大震災(平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)に際し災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用された市町村の区域(東京都の区域を除く。以下この項において「被災市町村の区域」という。)において施行する公共工事(当該公共工事が施行される区域が被災市町村の区域とそれ以外の区域にまたがるものを含む。)に要する経費についての前項の規定の適用については、同項中「当該経費の3割」とあるのは、「当該経費の3割5分」とする。

○亘理町財務規則〔抜粋〕(平成7年亘理町規則第6号)

(前金払)

第67条 前金払のできる経費は、令第163条第1号から第7号までに掲げる経費及び令附則第7条に定める経費のほか、次に掲げる経費とする。

(1) 保管料

(2) 保険料

(3) 補償金

(4) その他町長が特に必要と認めた経費

2 課長等は、前金払を受けた相手方が当該前金払に係る債務を履行しないときは、その事実を確認し、第87条の例により履行しない部分に相当する金額を返還させなければならない。

【参考18】

◎ 工事請負費の場合【亘理町建設工事執行規則35】

1 契約書の契約条項に「前金払」についての特約が明記されていなければなりません。

2 公共工事及び公共工事に係る調査・設計等の業務委託の前金払を行うときは、契約の相手方から保証事業会社の当該工事等に係る保証証書(前払金保証)を提出させなければなりません。

3 支払日は、請求を受けた日から14日以内です。(標準:工事請負契約書 第35条)

(3) 事務処理

事務処理は、次のように行います。

① 支出負担行為兼支出調書の入力

・支払区分は、「前金払」とします。

・事業完了後の後払金については、通常払として処理してください。

・支払予定日は、契約書で特約している期限がありますので、注意してください。

② 前金払の精算

前金払は、債権金額が確定したものですから、精算行為は生じませんが、その後の事情の変更により、金額に増減が生じたものについては、概算払の例により精算し、その結果、過払いとなったときは、直ちに返納させることになります。

参考資料

◎ 歳出予算に係る節の区分【施行規則別記様式】

・節の区分は、支出の性質別により設定されているもので、その内容は次のような経費です。

【予算の見方・つくり方(学陽書房発行)抜粋】

節の説明

経費の説明

1報酬


(1) 報酬は、地方公共団体の非常勤である職員が一定の勤務に従事した場合に、その対価として支払われる給与(法203、203の2)で、これは常勤の職員の給与とともに法律又はこれに基づく報酬条例によらなければならない。月の途中の就任又は退職の場合日割条例がよい。

(2) 議会の議員以外のものについては、原則として勤務日数に応じて支給するものとされているが、月額が多い。

議員報酬

(1) 議会の議員に対する報酬の額及びその支給方法は条例で定めなければならない。月額が殆んどである。(年額も可能)。その額の決定に当たっては報酬等の審議会の意見を徴する。(昭39.5.28通達)なお、報酬の請求権の放棄は許されない。

(2) 議長、副議長、委員長、副委員長、議員に対して支給される報酬は条例で定められる。委員長、副委員長への例は少ない。

(3) 議会の常任(特別)委員会の委員たることを理由に別に委員報酬を支給することは法令上許されない。

(4) 委託料等の各項目を使用しても実質的に同性質のものについては報酬と同様である。なお、疑惑がある場合は、透明度を高くするか、さもなければ廃止する。

委員報酬

地方公共団体の執行機関である委員会の委員及び委員(常勤の委員を除く。)に対して支給される報酬のことをいう。自治法第180条の5第1項、第2項、第3項に規定される委員会の委員及び委員をいう。具体的には市町村では教育委員会委員、選挙管理委員会委員、人事(公平)委員会委員、農業委員会委員及び固定資産評価審査委員会委員並びに非常勤の監査委員がこれに該当する。

非常勤職員報酬

(1) 議員報酬及び委員報酬以外のすべての非常勤の職員の報酬をいう。

(2) 附属機関として設置されている審査会、審議会、調査会等の委員その他の構成員(審査員、審議員、調査員)並びに専門委員に係るもの(常勤の事務職員を除く。)

(3) 選挙長、投票及び開票管理者並びに投票、開票及び選挙立会人に係るもの

(4) 上記以外の非常勤である職員の報酬

これらの者は、地方公共団体の長により任命されているのが原則であり、地方自治法第203条の2第4項により、条例によって定められなければならない。したがって、一般職であると特別職であるとを問わない。なお、単純雇用の賃金支弁にかかる作業員は含まれないのである。具体的に非常勤職員の報酬の対象となるのは、民生委員、民生委員推薦会委員、婦人相談員、学校医、防災会議委員、消防団員、児童福祉審議会委員、水防団員、中小企業調停審議会委員、優生保護審査委員会委員、自治・町内会連絡員又は駐在員、統計調査員等

(5) 議員以外の非常勤職員の報酬については、勤務日数によって定めるのが妥当であるが、もし、勤務形態が、常勤職員の形態と同様であるとするならば、月額制とすることも可能。

(6) 非常勤の臨時、顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらに準ずる者に対する報酬の額についても条例でその額を明示しなければならない。よくある例に「予算の範囲内で長が定める額」とした規定は違法と解される。

(7) 議会選出の監査委員の報酬は、監査委員の報酬条例に規定するのが適当であるが、給与の重複支給が生じないよう条例上調整規定をおくことがよい。

(8) 議員を除く委員等の報酬を特別に年額で費用弁償も支給することを条例で定めている場合、委員長、委員についての金額上の差を設けてもよい。

(9) 選挙開票立会人の報酬は、日額制と条例に定めてあるが、勤務時間に満たない場合割り落としをすることができる調整規定を条例に定めることも可能。

2給料


地方自治法第204条の規定に該当する常勤職員に特別職及び一般職を問うことなく支給されるものが給料である。これらは条例で定められる。

「特別職給」、「事務職員給」、「技術職員給」、「書記給」、「雇給」、「常勤委員給」及び「その他の常勤職員者の職員給」がこれに含まれる。その額及び支給方法は条例で定めなければならない。

特別職給

一般職給

3職員手当等


地方自治法第204条第2項に規定する手当は次のとおりである。条例上においては、具体的支給要件、額、支給方法の規定化を要する。条例上包括委任条項のみ定めて他を規則に委任することは給与条例主義の原則に違反する。

以下略

4共済費

地方公務員等共済組合に対する負担金

報酬、給料及び賃金に係る社会保険料

(1)(2) 略

(3) 職員に伴う保険の保険料で、給料又は賃金の節で支弁する者に係るもので、法令の規定に基づいて地方公共団体が負担する社会保険の保険料である。例えば、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法、雇用保険法及び船員保険法に基づいて雇傭者である地方公共団体が負担することとなる保険料をいう。

(4) 退職手当組合に納付する負担金は事務費を含めて職員手当として計上する。

(5)(6) 略

5災害補償費


(1) これは地方公共団体の職員(議会の議員等も含む。)が公務により死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくは公務による負傷若しくは疾病により死亡し、若しくは障害となり又は船員である職員が公務により行方不明となった場合においてその者又はその遺族若しくは被扶養者に対して地方公共団体の支出する補償金(地方公災法69、労災法、労働基準法第8章、船員法第10章)である。

(2) 地方公共団体の常勤職員の災害補償制度については、地方公務員災害補償法に基づき地方公務員災害補償基金を通じて行われるので、当該職員に対しては、当節の災害補償費をもって支出することはできない。公務災害補償制度は、条例で定めるべきであり、この場合、地方公務員災害補償法及び労働者災害補償保険法で定める補償制度と均衡を失した条例を制定することはできない。

以下略

6恩給及び退職年金


7報償費


報償費は、役務の提供や施設の利用などによって受けた利益に対する代償であるが、「1報酬」が非常勤職員に係る給与的色彩が濃厚であるのに反し、本節の報償はこのような給与ではなく、役務の提供等に対する謝礼又は報償的意味のものである。市(町村)長から市(町村)政の協力への謝礼、功労のあった人への記念品については報償費でよい。災害に対する見舞金、被災住民全般に支出する場合は、報償費、しかし、予算上報償費であっても実質上退職手当であれば、ここから支出することは不適当、又記念品として退職慰労金をここから支出する場合は、退職手当に該当し記念品の名称では不適当(昭32.4.1行実)

市町村が記念行事等に際し、関係職員に記念品等を報償費に計上して贈呈する場合、社会通念上の儀礼の範囲を超え、しかも現金で一律支給したものは違法(昭39.7.17最高裁)

報償金

講演会、研究会等の講師の謝礼金、税の納期前完納報償金(地方税法321②)。市町村長より謝意を表するため、時計、カバン等の記念品を購入する場合は報償費の支出がよい。

賞賜金

人命救助者、犯人逮捕者に対する表彰の謝金、卒業生や善行者への表彰に際し及び共進会、文化祭等における優秀者に対しての賞金。

買上金

有害動物又は昆虫等を買上げることにより一定の目的を達成するための経費を区分する。また、授産場等における製作品について奨励の意味で買上げる場合も含むものとする。

(例)ねずみ、いのしし、野兎、ハブ等の捕獲者等に対し交付されるもので、捕獲物を買上げることによって、その捕獲の労を謝するとともに、併せて今後の捕獲も期待し、また他の者にも捕獲を奨励することを目的としている。

土地、物件の購入は、「16節公有財産購入費」による区分がよい。

8旅費

費用弁償

費用弁償とは、職務の執行に要した経費を償うために支給される金銭給付をいい、支給の対象はおおむね「1報酬」の受給者の範囲と一致し、役務の対価でなく、実費弁償の性格をもつものをいう。

議会の議員等(法第203条、第203条の2に規定する委員)、構成員、投票管理者及び開票立会人等(概ね「1報酬」を受ける職員の範囲の者)の職務の執行のため旅行した経費及び法第207条に規定する次に掲げる関係人等に対する実費の弁償その他講師等の招へいに係る旅行の旅費である。

ア 条例の制定又は改廃の請求者の署名の無効事件に関する関係人の出頭

イ 地方公共団体の議会の百条調査権の発動に基づく証人の出頭

ウ 監査執行のため出頭を求められた関係人の出頭

エ 自治紛争調停委員が出頭を求めた当事者及び関係人の出頭

オ 議会の常任委員会、議会運営委員会が公聴会を開いた場合における利害関係を有する公述人及び参考人

カ 議会の特別委員会の公聴会における利害関係を有する公述人及び参考人

キ 議員の野球大会の出場は、公務外とした判決(平12.4.26東京高裁)、県監査委員の監査にも指摘がある。

普通旅費

旅費は、公務のための旅行に要する経費を償うことを目的とする金銭給

付で、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、日当、宿泊料、食卓料、移転料、着後手当、扶養親族移転料、支度料、旅行雑費等の種類がある。

(1) 地方公共団体の「2給料」を支給される職員(以下特別旅費について同じ。)に、具体的な事業の目的に必要とされる旅費でなく、事業とは別個に人に伴って計上されるいわゆる人当的旅費(一般に日額旅費)と称され、一般職及び特別職の職員に支給される。

特別旅費

(2) 地方公共団体の普通旅費に該当しないおおむね特定の事務事業の執行に伴う旅費をいい、例えば次のごときものである。




ア 調査旅費

イ 検査旅費

ウ 監査旅費

エ 監督旅費

オ 研究(修)旅費

カ 指導旅費

キ 取締旅費

ク 測量旅費


事業目的の明らかな日額旅費は、この区分による。外国旅行の旅費は、その事業目的による。

ケ 護送旅費

被疑者、被収容者等の護送、同行の旅費

コ 外国旅費

サ 感染症予防旅費

シ 訴訟旅費

なお、議員に対し費用弁償の支出のできないものは次の例

ア 議会閉会中付託事件がないのに委員長の招集によって開かれ、それに出席した者

イ 議会開会前議案内示等のため、市町村長からの要請に基づく議長からの全員集合、あるいは所管委員長の招集により出席した者

ウ 議会閉会中議長の要請による各党代表者会議、広報編集会議に出席した者(広報特別委員会を設置している議会もある。)

ただし、議員である人が地方公共団体の機関から依頼されて公務執行を補助するために旅行した場合は、議員としての費用弁償ではなく一般の旅費条例の定めるところによる。そもそも、議員に対する出張命令は、法令上の明文がなく、議長と議員の関係も任命行為がないために旅行命令権者は存在しない。議会代表権及び事務の統理権に根拠を求めざるを得ない。議員の海外旅行に対しても合理的な必要性のあるものとした条件付の判例がある(昭63.3.10最高裁)。なお、議員の場合、議決や議会の要請(委任)もなく、議長個人の判断により、決起大会、補助金、起債陳情で、中央各省庁や府県庁に出張した場合や研修という視察に対する出張(議員の親善野球大会の出場者の出張)の適否は、専ら議員としての公務を行うものであって、それらの費用弁償支出の適否については議長が判断する立場だが、長及び監査委員側とも合意できる状況が必要であると考える。

なお、オンブズマン、監査請求、文書公開請求が多くなってきたので法的根拠を明確にする。

9交際費


交際費は、地方公共団体の長又はその他の執行機関が行政執行上、あるいは当該団体の利益のために当該地方公共団体以外の者と公の交渉をするために要する経費であって、債権者のための支出であり、個人の生活費的な費途、個人的な経費として支出されるべきものではない。災害見舞いとして、特定人又は被災害町村に対するものは、交際費でよい。

(例)領収書を徴するべきであるが、弔慰金、餞別、見舞等は不要

(1) その性格上、必要最小限度の予算を原則として長に限り計上されるべきものであるが、議会の議長、教育委員会、監査委員、消防長等に計上している例も見受ける。これは法律上必ずしも禁止していると断定できないので、長以外の者にも計上されているがやむを得ない。

(2) 交際費に対し、東京都議会議長交際費の不当支出に当たり、昭和45年5月26日付けで自治省行・財政両局長名で各都道府県知事に対し取扱い通達がなされている。

ア、交際費の支出については、一般経費と同様支出負担行為に基づき正当債権者に支払うのが建前であること。イ、交際費の定例的資金前渡は適当でないがあらかじめ現金を前渡する必要がある場合は所要の手続きをとるべきである。ウ、香典等社会通念上相手方から領収書をとれないもの以外は、正当債権者の領収書を受けておくべきである。エ、交際費については、他の費用の流用又は予備費の充用は適当でなく、増額する場合は、所定の予算措置を講じること。オ、交際費は年間的なものであるので、年度途中で特別の事情のない限り補正すべきではない。

(3) 食糧費と混同し勝ちであるが、行政事務、事業の必要上開かれるところの、各執行機関、議会、各種委員会等の会合における食糧費的経費については、交際費に計上されるべきではない。需用費「食糧費」とすべきである。交際費として支出できるもの

(例)弔慰金、見舞金、餞別、みやげ品、来客接待の食事

最近、交際費に対する訴訟又は開示を求める要求があるが、一部の団体では開示に応じている例はある。

10需用費


本節は、地方公共団体の行政の執行に伴う物品(備品・原材料に含まれないもの)の取得及び修理等に要する経費で、その効用が比較的短期間に費消される性質のもので、これには消耗品費、燃料費、食糧費、印刷製本費、光熱水費、修繕料、賄材料費、飼料費、医薬材料費等が含まれる。

消耗品費

(1) 短期間又は一度の使用によって費消されるもので、各種事務用紙、複写器用原紙、同原料液、封筒、筆、墨、印肉、肉池、インク、インクスタンド、ペン先、ボールペン、鉛筆、スタンプ台、消ゴム、鉛筆けずり、糊、綴糸、綴金、諸帳簿、スクラップブック、伝票、表紙、旧型の印刷機(タイプ印刷機、リコピー、ディプロ等複写機、会計機は備品に含まれる。)、絹板、印刷器用ローラー、各種文具費、印紙代(切手は役務費に含まれる。)、被服費(作業衣、事務衣)、飼料代及び消耗器材費(試験用薬品、針金、釘、コード、ニクロム線、蛍光灯、ガラス、各種事務機器の部品、塗料等)、環境衛生のための各種薬剤、新聞、雑誌、官公報、法規集の追録、地図(大きな掛図は除く。)、活字、書類バサミ、砥石、風呂敷、ブラシ、草履、スリッパ、箒、雑巾、電球、たわし、土瓶、茶碗、石鹸、試験管等、図書(年刊月刊発行)、収証紙の購入、家庭用配布薬、滅菌用塩素、軽自動車の標識鑑札、懸垂幕代

燃料光熱水費

(2) 暖房用、炊事用等の庁用の石炭、木炭、重油、石油、ガソリン、プロパン、天然ガスの類、自動車、船舶、飛行機等に使用するガソリンの類。試験、研究、実験等の事業用の燃料も含まれる。

食糧費

(3) 交際費と違うのは、行政事務執行上直接的に必要として費消される経費である。会議用(宴会を含む。)、式日用、接待用茶菓子及び弁当、供物、留置人食事、病院患者食事(仕出し)等接待経費の類、非常用の炊出賄費、宿泊所、保育所等の賄料

国・地方とも官官接待が問題となっているので、非難されないよう執行に十分注意を要する。

印刷製本費

(4) 印刷及び製本に要する経費で、当該団体が行政事務の執行上、印刷及び製本を依頼するために要する経費である。役務費と類似しているが、役務費は純粋にサービスの提供に対する対価であるのに比して、印刷製本は物的価値の提供が含まれている。

各種事務用紙、帳簿、ポスター等の印刷、写真(青写真)の現像、焼付、引伸料、伝票、帳簿、書類、手帳の製本費、当該団体のみで編集頒布するための法規集の印刷製本又はそれら法規集の追録の印刷代

なお、各種の研修会の資料代についてはここに計上し、資料代、昼食代、見学費を含めた出席者参加負担金を一括する場合は「負担金、補助及び交付金」でよい。昼食代、見学費は開催の趣旨、内容にもよるが普通は参加者本人の負担が適当である。

光熱水費

(5) 電気、ガス、水道及び冷暖房使用料、各種計器借用料を含む。配線配管は工事請負費

修繕料

(6) 修繕料は、役務の提供と観念される性質のものである。しかしながら何の修繕においても、その材料を使用しない場合は全くなく、また機械器具等の修繕は場合によっては部分品の取替え、破損・老朽箇所の原材料の取換のため相当の費用を要し物品の購入と何ら異ならない場合が多い。大修繕改築等は第14節工事請負費に。要するに、役務の提供より物品の取得の面に重点をおき、本体の維持管理、現状復旧を目的としたものである。例えば

ア 備品及び消耗器材の修繕

イ 備品、船舶、航空機等の部分品の取替え

ウ 家屋、構築物等の大修繕、改築等で本体の維持管理、原状復旧は工事請負費で支出する。上記に入らない小修繕は修繕費(公営住宅の畳替、ブルドーザーの修理)

なお、節の説明による配分に当たっては、個々の修繕料の種類を掲げることとするのが望ましい。修繕料と消耗品の違う点については、修繕は物が破損した場合にこれを繕い原状に戻すことを目的としており、それは役務と材料によって成り立つ。消耗品については、個々に判断するのがよい。

賄材料費

(7) 病院、診療所の患者又は乳児院、養老園その他の収容施設における入院(園)者、青年の家、国民宿舎、老人ホーム等に係る給食の材料購入経費である。患者又は入院(園)者等に係るもの及び地方公共団体直営のレストハウス、観光ホテル等施設の給食材料の購入についても、本節に区分することが適当である。

飼料費

(8) 動物(牛馬、豚、ニワトリ、養魚等)に係る飼料の購入経費

医薬材料費

(9) 病院、診療所、保健所等における医療用に供される消耗品

ア 注射器、グラス、氷のう、脱脂綿、包帯、ガーゼ、三角巾、眼帯、外科用小器具等消耗品の類

イ 薬品の類の購入経費

11役務費


地方公共団体がサービスの提供を受けたことに伴う対価を支出する経費の区分をいう。

通信運搬費

(1) 郵便(切手、小包、速達、書留、郵便証明、不足料、はがき、宅配便料金)、電信、電話料(電話加入登記料、電話架設料)及び運搬(労務費、荷造費)に要する経費である。電車・バスの回数券並びに有料道路通行料は第13節 使用料及び賃借料に含まれる。

保管料

(2) 物品の保管に要する経費(倉庫の倉敷料を含む。)

(例)証券、貴重品、危険物、重要備品等を保管業者又は銀行に依頼したときの支払い。

広告料

(3) 公務の執行上住民に周知せしめるためテレビ、ラジオ、新聞雑誌その他に広告する場合の経費である。

ア 工事の競争入札、競売、公営住宅入居申込の広告の類

イ 公営住宅入居、宝くじ当せん番号の広告の類

ウ 選挙啓発、貯蓄推進、公営墓地、観光宣伝、火災予防及び納税促進等の宣伝広告の類

手数料等

(4) 地方公共団体が特定の個人等より役務の提供を受けた場合において支払うべき経費である。

ア 地方債事務取扱手数料、証紙売りさばき手数料、指定金融機関事務取扱手数料、試験、検査、鑑定、送金、振替貯金振込手数料、汲取手数料、市町村有自動車の検査のための使用料を支払うための証紙購入代

イ 登記、登録委託、各種証明手数料の類

ウ 乳児院、養老園の入院(園)者の疾病の治療費及び動物の疾病の治療費並びに死人(動物を含む。)の措置費

エ コピー機、ワープロ、計算機等の分解掃除、宴席の仲居のサービス料、汚物汲取手数料、プールの清掃、薬品撒布(委託の場合は委託料)、クリーニング代、造林作業費

筆耕翻訳料

(5) 筆耕料には謄写料、タイプ料、印書料等、また翻訳料には通訳及び速記料(議会の速記者の手当は手当に計上する。)、筆耕用紙、謄写用紙、タイプ用紙、速記用紙等は、消耗品費に計上する。

火災保険料

(6) 家屋、構築物、船舶、飛行機、重要文化財等物件のみに係る火災保険その他の損害保険の保険料である。

全国県市(町村)有物件災害共済会等に加入した場合の掛金は、相互救済事業としての一種の自家保険であり、保険事業法に規定する保険事業に該当しない。しかし、実質的には火災保険料と同義であって、委託の方式をとるとはいえ、相互救済事業の主体は地方公共団体自身であり、しかも保険事業法の適用がないので「11節役務費、火災保険料」とするのがよいが、他にも「23節投資及び出資金」に計上している例もある。

自動車損害保険料

(7) 自動車損害賠償保障法第10条の規定により適用を除外されていない市町村(法第252条の19第1項の指定都市以外の市町村)の自動車に係る自動車損害賠償責任保険の保険料

ピアノ又はオルガンの調律は役務費

12委託料


(1) 地方公共団体の事務、事業、調査、研究等の委託については、法令上の根拠があるものと私法上の契約がある。殊に私法上の委託の場合は一種の請負契約というべきで工事又は製造に関連して法第96条5号の議会の議決を要する場合もある。委託に要する経費で、一応他の節に区分できるものであっても委託に要する経費はすべて、この節に区分する。試験、検査及び研究の委託料、調査、測量、観測及び設計の委託料、患者委託料、映画制作委託料、テレビ、ラジオ放送委託料、公の施設の管理委託料、電算機委託料、電話交換機管理委託料、白アリ駆除委託料、職員自動車免許取得のための授業料、ブロック会議の開催の一切の業務をあっせん業者に委託したときの委託料等がある。

(2) 委託には公法上(法252の14)の委託(地方公共団体相互間の委託)と私法上の委託があるが、前者は公権力の行使まで対象であり、後者は一種の請負である。両者を混同してはならない。市町村が、災害復旧に伴う工事を他の普通地方公共団体へ委託(法252の14による委託は除く。)しようとする場合「工事又は製造の請負」に該当するので議会の議決が必要である。(昭41.10.1行実)

シルバー人材センターに依頼するものは、材料費を除き、本節とする。

13使用料及び賃借料


国、他の地方公共団体又は私人であるとを問わず、一般的に土地、建物等の不動産、会場借上げ、自動車、機械類の借上げ、物品又は権利の使用(借上げ又は特許使用の場合を含む。)に対して支払われる金銭である。

(1) 使用料は、国又は他の地方公共団体の営造物又は公の施設若しくは行政財産の許可による使用の使用料の経費。賃借料は、国又は地方公共団体の私法関係に基づく使用又は私人の物件の使用の経費である。

(2) 土地、家屋、自動車、船舶、機械借上料、また展示会等小間割、マイク、映画フィルム、ピアノ借上料、種付料、ラジオ・テレビ聴取料(ハイヤーの借上、チケット契約の乗車賃等も本節に含まれる。)

(3) 有料道路通行料、駐車場使用料、入場料

(4) 家屋借上げの敷金は本節に計上し、返還金は雑入で受け、権利金は権利購入費として「16節公有財産購入費」に区分するのがよい。又電気、ガス、水道等の使用に伴う光熱水費については「10節需用費(光熱水費)」がよい。

(5) バス、ハイヤー等の借上げは本節でよい。自家用自動車の借上げは報償費から、国土交通大臣の許可のものの場合は本節でよい。

14工事請負費

何工事請負費

地方公共団体が、土地、工作物の造成又は製造及び改造の工事、工作物等の移転及び除却工事のうち、請負契約により工事を行う場合の工事完成者に対して支払う経費である。

(1) 請負工事であればいかなるものでも良く、道路、河川、堤防、溝渠、積石等の土木工事をはじめとして、建築、工作、船舶等の建造並びに海岸、湖沼、低湿地の埋立て、運河、港湾の掘採及び湓水泥の除去及び家屋、建造物の除却又は取りこわし等

(2) 工事請負費については、○○橋架設工事請負費、△△中学校工事請負費等、具体的に明示する。

(3) 直営工事分はそれぞれの経費に計上する。原材料費、需用費等に。

(4)「10節需用費」中修繕料との区別については、工作物そのものの位置や形状等を変更するか否かによって区別すべきであり、仮に小修繕等で中小企業者が請負って実施しても工事請負費とすべきではない。

(5) 工事請負費の場合は、当該請負によって何らかのものを作り出す場合であるが、修繕料は、軽微で補完な場合と考えてよい。しかし、市営観光船の機関の取り替え又は一部改造の場合、工事請負費がよい。修繕料とすることもある。なお、建設業法第2条別表の記載事項が、工事請負を網羅しているものではない。

(6) 冬期ストーブの取付け又は撤去の賃金は、役務費、又は工事請負費からでもよい。

(7) 土地改良事業等の事業を土地改良区、農業協同組合等の受益団体への委託は委託料でよい。

(8) 自治法上の「工事又は製造」の請負契約の締結(法第96条第1項第5号)で、市1億5,000万円以上、町村は5,000万円以上の場合、議会の議決が必要である。

15原材料費


原材料費とは、原料(その本質を全く失って新しいものを生産又は製造するために用いられるもの)又は材料(その本質を失わず新しい属性が附加されて生産物又は製造物の構成部分となるもの)に要する経費をいう。なお、需用費の消耗品費でも、工事、生産、工作のために消耗され又は築造物の構成部分となる材料類は本節による。

地方公共団体の直営工事の用に供する原材料の調達に要する経費及び地方公共団体の生産施設における原料又は附属品の購入経費(職業訓練所、授産場及び学校等の材料費、缶詰、びん詰加工場等の缶又はびんの購入費の類)の諸材料費

工事材料費

(1) 直営工事の工事用原材料の購入に要する経費で、石材、鉄骨、砂、亜鉛板、鉄板、セメント、砂利、鋼材、木枠、針金、釘、土管その他工事の用に供することにより消滅する物品

加工用原料費

(2) 上記の生産的施設における原料、その他の材料の購入経費で、例えば、木工場における木材、染色工場における生地及び染料、育苗試験場における種子等の直接に加工原料となるもののほか、その他間接的に生産工程に消耗されることとなるもの、例えば、上記の例の場合においては、染色工場における石炭等の燃料費、育苗試験場における肥料等は、これを含ましめるものである。

(3) 植木、苗木、学校の砂場の砂、垣根用のフェンス、有刺鉄線等

16公有財産購入費


これは、公有財産を購入する場合に必要な経費である。地方自治法上の財産とは「公有財産、物品及び債権並びに基金」とされている。

(1) 公有財産とは、法第238条に規定する行政財産及び普通財産をいう。

また、公有財産購入費は、財産がそのままの状態において購入する場合に要する経費である。例えば、中古家屋を購入しこれを直ちに改造する場合にあっては、中古家屋購入のみをこの節により、改造の場合を含めない趣旨である。

(2) 省令の節の説明においては、権利、土地、家屋及び船舶等に一応区分しているが、それぞれの区分ごとに「何権利購入費」、「何土地(家屋)購入費」とすることが理想的である。

権利購入費

(3) 法第238条第1項第4号及び第5号に規定する権利の取得に要する経費であり、入会権、………等の経費であり、占有権、水利権、担保物権、賃借権、借地権、借家権、電話加入権等は入らない。特許権、著作権、商標権、実用新案権等、株券、社債券、国債、投資信託受益証券、貸付信託の受益証券、不動産信託の受益権、しかし、電話加入権は第11節の役務費の通信運搬費よりも本節の権利購入費とするのが適当。

土地購入費

(4) 同条第1項第1号の不動産に属するもののうち、土地(水面を含む。)及びこれに附属する石垣、暗渠、立木(土地の従物)等をも含む。土地については、面積と金額の双方が条例の基準に合致したときは、議会の議決が必要(基準は政令で定め、かつ条例)。なお、土地と家屋と一括取得する場合は、土地は土地、家屋は家屋のみで条例で定める基準に該当するかどうかを判断する。

また、土地や家屋等の購入に伴う「手付金」は公有財産購入費で支払う。

家屋購入費

(5) 国有林野の売払いを受けた買受代金、借地権放棄料も本節、新築住宅の畳の購入。なお、地方自治法第96条第1項第8号により、不動産若しくは動産の買入れ、売払い、不動産の信託の受益権買入れ、売払いの場合、市は2,000万円、町村は700万円以上(土地については、市町村とも一件5,000平方メートル以上)は、議会の議決が必要。以下略


(6) 略

船舶航空機等購入費

(7) 略

17備品購入費


法第239条に規定する物品のうち、需用費及び原材料費である物品を除いた物品の購入に要する経費である。

需用費である消耗品と本節との区分は、必ずしも容易ではないが、一応の区分としては、備品費はその性質形状を変えることなく長期にわたり使用し、かつ、保存することができる物品である。この点においては、いわゆる消耗器材との相違が必ずしも明らかではないが、消耗器材は比較的損耗度の激しいもので、短期間のうちにその効用が減耗する点において異なる。具体的には、いずれも当該団体の財務規則で明確にしておくのがよい。(本町では、目安として耐用年数1年以上、購入価格1万円以上のものとしている。)

ア 長期間使用の代表的なものとしては、庁用器具があり、例えば、机、椅子、卓子、戸棚類

事業用の機械、器具、農工、医療器具、図書、厨房用具類

実験、実習、調査、研究用の機械器具の類

附属品、例えば、船舶、航空機、自動車等で、需用費に区分されない附属品で長期間使用に耐えるもの

イ 長期間にわたり保存するものの代表的なものとしては、標本、陳列の用に供する物品がある。この場合においては、需用費、原材料等に属する物品として区分されるものであっても、標本、陳列品として長期間保存する場合においては、本節に区分するので注意すること。

ウ 消防団服の購入、インターホーン、バッテリーの購入は本節、充電料なら役務費がよい。有線放送施設の機器は本節に計上し、電柱等の架設は工事請負費である。

庁用器具費

専ら、一般的な事務用の機械器具の購入に要する経費である。それが事務の用に供するかどうかの判断は、購入のときにおいてあれば足りるものであること。

主なものは、前述のアの机、椅子、卓子、戸棚、計算器具、体育用器具、医療器具、時計等の購入費である。

機械器具費

専ら、その目的とする事業の執行に要する機械器具の購入経費で前述のアの事業用の機械器具は勿論、実験実習用のもの及び船舶航空機等の重要な附属品又は部分品の類並びに標本、陳列品の類である。(工作機械、光学機械、自動車、レントゲン、トラクター、計測機、印刷製本機械、パーソナルコンピューター、厨房用器具、事業用図書標本等)

動物購入費

18負担金、補助及び交付金

負担金

(1) 法令又は契約に基づいて国又は他の地方公共団体に対して負担しなければならない経費をいう。

例えば、国(都道府県)直轄事業の都道府県(市町村)の負担金(地方財政法第10条の政府直轄事業分担金、地方公共団体が支払義務を有する分担金等)、その他法令上地方公共団体が分担金又は負担金として支払義務を有するもののすべてを含み、負担金と分担金の用語の使い分けは不明確である。負担金の支出については、法令等によって義務づけられている経費に対し、超過負担の問題があるし、任意の負担金の場合は、内容が不明確な団体の会員として、その維持運営のための負担金という名目で会費として漫然と負担しているものが多い。知事会、市(町村)長会、議長会、その他各種の協議会の経費の分担もすべてこの区分から支出することとなる。割にルーズなのは負担金にある。

補助金

(2) 特定の事業又は研究を行う者に対し、その事業又は研究を助成するため法令の規定に基づき交付するもの又は特定の事業又は研究が公益上必要がある場合にこれらを助成するために交付する。

補助金で、憲法第89条及び地方自治法第232条の2により支出が制限されていることに注意。なお、地方自治法第232条の2の「公益上必要がある場合」の公益とは社会的見地から、ケースバイケースで認定するべきだが、その認定権者は、長及び議会であるが、その認定として、全くの自由裁量行為ではないので、客観的にも公益上必要であると認められなければならない。(昭28.6.29行実)

なお、国庫補助金で都道府県又は市町村の予算に計上のうえ交付するものは、その支出科目は本節により区分する。宗教団体への公金の支出は禁止されている。(憲法89)中略

「私立学校法第3条の学校法人が設置する幼稚園は公の支配に属し、補助金を支出することができる。」(昭27.11.13行実)中略

社会福祉事業法第29条第1項により設置された社会福祉法人及び民法第34条の規定により設立された法人が設置する保育所(児童福祉法第35条第3項の認可に限る。)に補助することが可能。遺族会に対して補助することはできる。(昭27.11.13行実)

補助金は、本来地方公共団体が独自の判断によって支出する直接補助が多いが、一方では国の施策に基づき(市町村が都道府県の施策に基づいて行う場合もある。)、国からの補助を受けて地方公共団体が間接的に補助する場合もある。補助金として支出されるものは、その名称を奨励金、助成金といったものにせよ、その実質は補助金と同様に本節に計上する。問題は、支出するに当たっては、補助規則、補助要綱、補助規程によって公金の支出を明確にするために設けられているが、ともするとズサンになりやすい。

交付金

(3) 法令又は条例等により、団体又は組合等に対し地方公共団体の事務を委託している場合において当該事務処理の報償として支出するものであり、委託金が法令の規定又は私法上の契約による行政事務執行上の委託であるのに反し、本節は専ら報償として一方的に交付される点において異なる。以下略

(4) 補給金 資金の融通を受けて行う事務や事業の助成、育成のために、資金の融通を行う者に対して当該融通資金にかかる利子の全部又は一部に相当する額を市町村で給付するものがある。

(5) 職員互助会、議員の会派交付金

19扶助費


生活保護法、児童福祉法、身体傷害者福祉法等に基づいて生活困窮者その他社会福祉関係法の救助対象者を救助するための交付金をいい、又は地方公共団体が任意に設置している生活困窮者、養老者、被災者等に対するこの種の交付金も含まれるものである(町村には生活保護事務はない。)

本節は、(款)民生費、(項)社会福祉費、児童福祉費及び生活保護費として一応の事業目的により区分された特定の各目にのみ存在するものである。

なお、扶助費、報償費と現物給付については、需用費で経理している例が多いが扶助費が適当であろう。

中略

生活保護法では金銭給付を原則としているが、保護目的のため必要があるときに現物給付する場合も本節から支出する。児童福祉施設における給食、被服、就学、就職仕度、連れ戻し等も本節である。

20貸付金


(1) 地方公共団体が公益上の必要がある場合等、特定の行政上の目的を遂行するため行うための個人等に貸付ける経費をいう。貸付に当たっては必ずしも法令の規定、条例等の規定の根拠を必要としない。

育英資金、交通事故被害者に対する一時貸付金は、契約によって具体的な事務が進められるが、貸付金の金利は市中金利よりも低いのが特色である。事情によって無利子とするに当たっては、地方公共団体の法第96条第1項第10号の議会の議決は不必要である。ただし、有利息の約定の後に無利子とするときは、権利放棄になるので議会の要議決事項である。

(2) 貸付金は、私法上の消費貸借契約に基づくものであるから原則として償還されるものであるため、法令によるものにあっては特別会計とされるものが多く、任意設置の場合も特別会計又は基金を設置して行われるのが通常である。

(3) 社会福祉関係のもののほか、産業振興関係のもの、育英事業に該当するもの、歳計現金の預託という形式をとるもの、住宅建設促進のためのもの、技能修得のためのもの等いろいろある。

預金は、歳計現金の保管の一形態だから、予算計上は不要。しかし、金融措置の場合は歳入歳出予算に貸付金、償還金として計上する。

21補償、補塡及び賠償金

補償金

(1) 地方公共団体の公務の執行により特定の者に財産上の損害を与え又は精神上の損害を償うために要する経費である。

なお、公益上の必要により特定の者に対して債務の保証により補償する場合があるが、この補償金も本節に区分する。地方公共団体の行う債務保証については、法人に対する政府の財政援助に関する法律により許可が必要。以下略

なお、私有財産に対する行政処分による損害に対する補償としては、災害対策基本法(82条)、道路法(66条)、河川法(39条)、土地改良法(18条)、消防法(29条)、国民保護法に定めがある。

補塡金

(2) 地方公共団体が蒙った欠損について(金銭上の)当該欠損を補塡するための経費である。

ア 現金亡失の補塡、権利放棄による収入されるべき金銭債権の欠損補塡、職員の賠償責任の免除(法243の2)。自治法施行令第171条の7による貸付金、出資金の債権の免除等によって蒙った欠損の補塡

イ 会計年度経過後に至り歳入不足のため支出不能のときの翌年度歳入の繰上充用金

ウ 特別会計における決算上の欠損金は、一般会計からの繰出金で処理することとし、翌会計年度以降において繰り戻すこととし、特別会計の廃止年度における欠損も一般会計からの繰出金により、同決算における未収金は、一般会計へ編入することとして差し支えない。

賠償金

(3) 地方公共団体が公務の執行に当たって違法な行為により他人の権利又は利益を侵害したため、その与えた損害を補塡するときの経費を区分する。この公務の執行に当たって違法な行為による賠償金には、公務上のものと私法上のものがある。

ア 公務上のものは、地方公共団体の権限ある職員が、その職務執行につき、故意又は過失により又は公の施設等の設置又は管理に瑕疵があって(例えば、重量制限3トンの表示ある橋をそれ未満で通過しようとして落橋した自動車の場合)他人に損害を与えた時の賠償金

イ 相手方に損害を与えたことが全く私法関係に基づく場合、例えば、職員が運転する自動車の交通事故による見舞金、治療費又は地方公共団体側の契約の不履行(履行遅滞に伴う違約金等)により相手方に損害を与えた場合における見舞金又は賠償金。

地方公共団体が被告となって、判決以外の賠償額は議会の議決が必要。又地方公共団体が交通事故の加害者であるとき損害賠償の交渉が長引いた場合に、賠償額の内払いをすることができる。(令162Ⅵ)

(4) 訴訟における預託金、予納金については、敗訴によって訴訟費用に充当されるものは、本節の「賠償金」から支出する。勝訴で戻ってきたときは、当該年度中ならば科目に戻入し年度経過後ならば雑収入により収納する。供託金についても本節で処理する。

22償還金、利子及び割引料

償還金

(1) 地方公共団体の過去における債務の償還又は事務執行上の手違等により、過納又は誤納となったものの払戻金をいう。

ア 償還金の例として、地方債の元利償還金、過年度の税収入、税外収入(国庫支出金、県支出金、分担金等)、過誤納還付金がある。

イ 税外収入又は税収入の過誤納還付については、出納閉鎖期日までは、これを収入した歳入の各科目から戻出することとなっているが、償還金となるものは、出納閉鎖期を過ぎてから発見されたものである。

小切手支払未済償還金

(2) 略

利子及び割引料

(3) 利子割精算金 略

(4) 地方債の利子、一時借入金の利子及び地方債を割引発行する場合(例:額面100円のものを99円75銭と25銭だけ割り引いて発行することにより、地方債の応募者は手持金額が額面価額よりも低くて当該地方債を入手でき、それだけ応募者利回り、発行者利回りとも高くなる。)の割引料を処理する。

還付加算金

(5) 還付加算金とは、税収入等の過誤納分を正当債権者に返還する場合(元本は償還金である。)、当該元本に対して日割計算等によって附される利子相当分の加算金をいう。

23投資及び出資金


(1) 投資は、地方公共団体が財産の有効な管理手段として国債、地方債、電信電話債及び鉄道債券等を取得すること及び公益上の必要性等の見地から会社の株を取得し又は新たに共同して株主となる場合の経費である。

(2) また、財団法人の設立行為たる寄附行為としての出捐金を支出する場合の経費をいう。

(3) 信用保証協会に対する出捐金、電信電話債券、鉄道利用債、電力債等が大部分である。このほかローカル放送、テレビ、観光公社等への出資も含まれる。

(4) 市社会福祉協議会に対する支出は、支出の原因によって、第18節負担金、補助及び交付金又は第12節委託料もある。

24積立金


法第241条に規定する基金を設定する場合のうち、特定の目的のため積立を目的とする基金等に支出する経費をいう。基金に一定額を一般会計より支出する場合は、繰出金がよいが、特定の目的のために財産を維持し又は資金を積立てるための基金の場合は本節積立金とする。法第233条の2ただし書の規定により決算上の剰余金を翌年度に繰り越さないで基金に編入する場合は、予算を通さないからこの科目による必要はない。決算上の剰余金は、その2分の1を下らない額を積み立てるほか、又は地方債の償還財源に充てなければならない(地財法7)(例:特定の目的のために財産を維持管理し、又は資金を積み立てるために設けられる基金への一般会計から支出されるとき本節積立金に計上する。)

法令により義務づけられているものに、災害救助基金(都道府県のみ設置義務、災害救助法37)の設置がある。

25寄附金


(1) 地方公共団体が公益上必要がある場合において支出するもので、民法上の贈与であり、無償譲渡である。

(2) 寄附金は法令に明定ある場合もあるが(河川法35)、一般的には当該地方公共団体の公益上の必要性の判断に委ねられているわけである。

認定は自由裁量でないから個々の事例に即して客観的な基準により判断すべきである。寄附金の支出禁止乃至は抑制に関しては憲法第89条始め幾多の法令があるので特に注意されたい(自治法、地財再建促進特別法(23条2項)、地財法第4条の5により強制割当寄附は禁止されているので応ずる義務はない。これらの制限規定に留意すべきである。)。他の市町村に天災等が発生した場合の見舞金は本節が妥当。

26公課費


(1) 地方公共団体が公租公課を課される場合に要する経費である。地方公共団体は、一般的に課税免除又は非課税とされている場合が多いのである。

(2) 例えば、各種の登録税、入湯税等のように一般の私人と同様に取扱われている場合における所要経費である(例:自動車損害賠償保障法第78条の賦課金、自動車重量税)

27繰出金


(1) 繰出金は、一般会計と特別会計又は特別会計相互間において、過不足を彼此相補うため支出するに要する経費及び運用を目的とする基金に対する運用基金が含まれる。

(2) 繰出金の例としては、公営事業会計の建設事業費や赤字補塡、資金繰り、事務費補助等の目的のため出すもののほか、国民健康保険事業会計の直診勘定への事業勘定より繰り出し、収益事業会計よりの収益金の一般会計への繰り出し等がある(例:基金の設置、物品集中購買の設置、定額資金で貸付事業を行うための基金について一般会計から支出する場合は、本節がよい。しかし、公営企業法が適用される事業は、独立採算の原則により、出資又は補助ないし貸付に限られ、それぞれの該当の科目によって予算計上される。)

会計事務の手引き

令和5年3月31日 種別なし

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第6類 務/第1章 予算・会計
沿革情報
令和5年3月31日 種別なし