北限の地で育まれる 亘理のアセロラ
イチゴ、リンゴとともに亘理町の「3 つの赤い果物」として親しまれている「アセロラ」。中央アメリカ原産のトロピカルフルーツの1種で、数ある果物の中でもビタミンCの多さは100g中1700mgと群を抜いています。また、近年の研究で風邪、貧血の予防、ストレス解消といった効果も期待されています。
アセロラは気温が5℃以下になると枯れてしまうため、気温が低い北日本や東日本での栽培は困難とされていました。しかし、『亘理アセロラ園』を営む伊藤さんご夫妻は、1994年からアセロラの栽培に取り組んでいます。当初はブラジル系の「甘味系」と日本で栽培されていた「酸味系」を試行錯誤しながら試作し、その後、日本の風土に馴染んだ「酸味系」に絞って1997年から本格的に栽培を開始。翌年には東京の大田市場に初出荷し、東日本唯一の生産地から届けられたアセロラとして好評を得ています。2001年~2002年には亘理でアセロラ栽培を行っていることを知ってもらおうと町内の幼稚園や小中学校に生のアセロラをプレゼント。町民の方は、子どもの頃に学校でアセロラを食べた記憶がある人も多いのではないでしょうか。
そんなアセロラを育てるのに欠かせないのが受粉作業です。ご主人の正雄さんは、開花状況を確かめながら着粒安定作用のあるジベレリンを噴霧。受粉させた数を毎日記録し、効率の良い収穫を追求しています。東京農大の学生たちが実施した5年間に及ぶ研究で、受粉は夕方が好ましく、20~25℃が最も結実しやすいことなども判明。美味しいアセロラ作りに役立っています。ただ、アセロラには自ら受粉を調整する機能があり、いくら受粉を促しても結実するのは1000個のうち約300個だそうです。
2011年の東日本大震災ではアセロラの樹木全てが水没しました。絶望と無力感のなか、一度は農園の経営を諦めかけましたが、津波から2ヵ月後の5月、70本が奇跡的に芽吹き、栽培を再開。震災から復活を遂げた今では約400坪のハウスにある200本が実をつけ、年間を通じて3~3・5トンのアセロラが収穫されています。
アセロラの収穫時季は6~7月、お盆前後、10~11月初旬の年3回。「アセロラ果実」(1パック550円)のパック詰めは奥様のあけみさんが担当。通常は1日あたり20箱、最盛期には1日あたり40~50箱分のパック詰めを1人で行っています。「アセロラ果実」は東京の大田市場に出荷されるほか、当園からも全国へ宅配。最近は生のアセロラを買い求めに関東圏から訪れる人も増えているそうです。「生で食べるのが一番。」とあけみさんから手渡されたアセロラを頬張ると、爽やかな甘みが広がっていきます。「アセロラを漬けた酢を飲んでいる人も多いね。」とご主人の正雄さん。いずれも生のアセロラが手に入る亘理町ならではの醍醐味です。
『亘理アセロラ園』ではビタミンCを毎日手軽に摂れる「アセロラで酢」や1回の収穫で20~30個しかできない「アセロラジャム」などを製造・販売。特に、ジャムは農園でのみ購入できるとあってファンが多いそうです。
『亘理アセロラ園』が作るピューレが原料の「サニードレッシング(アセロラ)」、アセロラの果肉が入った「オリジナルブレンドソフトクリーム」、健康促進の期待がもたれる「アセロラジンジャーシロップ」など、アセロラが原料の商品はたくさんあります。アセロラドレッシングを作る『テイルサイド社』(亘理町)の横尾裕子代表は「白身系の魚と玉ネギ、トマトを合わせたカルパッチョとは最高の相性です。」と美味しい食べ方を紹介してくれました。ここで紹介した商品はもちろん、亘理のアセロラを生でも加工品でもぜひ味わってみてください。
※「テイルサイド社」は現在「美尚志所」へ社名変更されています。
亘理アセロラ園 | 住所 亘理町逢隈高屋字前原66 TEL 0223-35-3918 営業時間 9:00~17:00 定休日 火曜日 |
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美尚志所 | 住所 亘理町逢隈田沢字早川99-10 TEL 0223-34-3603 営業時間 10:00~18:00 定休日 不定休 |
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鳥の海ふれあい市場 | 住所 亘理町荒浜字築港通り6-22 TEL 0223-35-2228 営業時間 4月~10月9:00~18:00,11月~3月 9:00~17:00 定休日 年始のみ |
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